2015 Fiscal Year Annual Research Report
微高圧炭酸ガス殺菌メカニズムの速度論的解明と有効微生物プロファイルの作成
Project/Area Number |
25871040
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Research Institution | Wakayama National College of Technology |
Principal Investigator |
楠部 真崇 和歌山工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (40403761)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 微高圧炭酸ガス / 圧力 / 殺菌 / 不活化 / 食品加工 / 微生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究において、微高圧炭酸ガス殺菌技術の基礎的データを収集した。8気圧程度の微高圧では、静水圧の様に「圧力」という物理的な作用で微生物を不活化している訳ではなく、イオン化した炭酸ガスから解離する水素イオン濃度に依存していることが示唆された。また、当初の推測通り、炭酸ガスの溶解度は加圧により促進されるため、溶液のpH低下が進む事を確認した。この現象を利用した本技術は、細胞内pHを低下することが不活化に必須であることを突き止めた。これらは、本科研費で作成した装置を用いて、加圧中の溶液pHおよび細胞内pHを測定することで確認できた。これらのデータを時間軸に対して解析することで、不活化速度定数(kd)を求めることができる。kdは微生物の不活化を速度論的に解釈する上で極めて重要な指標となる。本実験で得られた各条件のkd値からと細胞内pH挙動から、細胞内外に存在する水素イオンの移動と微生物の不活化との関連性を定量的に議論することができる。 一方、有効微生物プロファイリングについて、BSL2以上の微生物を使用することが困難であったため、食中毒菌の近縁種3株およびコントロール株を含めた系で、それぞれの差異を調査した。株は原核生物として、グラム陰性、グラム陽性および真核生物として酵母株を選択している。これらの結果から、原核生物は比較的不活化が容易であり、細胞壁構造に依存しないことがわかった。一方、酵母の不活化は原核のそれよりも困難で、これは酵母細胞内に存在する液泡の機能に起因していることがわかった。
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Research Products
(5 results)