2014 Fiscal Year Research-status Report
機能性伝熱面による相変化伝熱の促進とマイクロヒートパイプへの展開
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25871042
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Research Institution | Ube National College of Technology |
Principal Investigator |
徳永 敦士 宇部工業高等専門学校, 機械工学科, 助教 (20609797)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 熱工学 / 滴状凝縮 / 機能性伝熱面 / MEMS / 伝熱促進 / 濡れ性こう配 |
Outline of Annual Research Achievements |
高熱輸送デバイスの小型・高性能化を目的とし,相変化伝熱の更なる伝熱促進が望まれている.そこで伝熱への貢献度の高い数ミクロンの液滴を活用する疎水・親水のマイクロ複合伝熱面を製作し,その伝熱特性の評価を行ってきた.その複合伝熱面は幅12ミクロンの疎水面と幅28ミクロンの親水面を交互に配置した形状であり,高さは360nm,800nm,1700nmの三通りとした.凝縮実験を行った結果,疎水面上の凝縮液滴を積極的に除去し,高い熱輸送特性を実現することが出来たものの,凝縮液量と液滴排除量のアンバランスによって生じるフラッディングを完全に抑制することは出来なかった.そこで,濡れ性こう配を表面に製作した複合伝熱面によってフラッディングの抑制を試みた.濡れ性こう配とは,疎水面幅を徐々に変化させ,液滴前後の接触角度差によって液滴を駆動させるものである.実験の結果,この凝縮面では液滴が効果的に排除され,フラッディングの発生を抑制することが出来るとともに,熱輸送特性が向上することが分かった.しかしながら表面温度の計測が問題であったため,濡れ性こう配の有効性を明確にするための薄膜熱電対を製作し,熱伝達特性の評価を行った.この薄膜熱電対は銅とコンスタンタンで構成されるT型熱電対であり,線幅は50ミクロンである.この薄膜熱電対を製作した凝縮面上に濡れ性こう配を形成し,凝縮実験を行った.その結果,これまでに得られた濡れ性こう配を有する複合伝熱面上の熱輸送特性とほぼ同等の値を示したことから,これまでの実験結果は妥当なものであることが分かった.すなわち,濡れ性こう配は液滴排除効果が高いためにフラッディングが抑制され,その結果として熱伝達特性も向上することを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は濡れ性こう配の有効性を示すために薄膜温度センサーを製作した.表面温度の直接計測により熱輸送特性を精度よく評価でき,その結果,これまでの疎水親水を交互に配置する複合伝熱面と比較して高い熱伝達率と,高い液滴排除効果を得ることが出来たためである.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,より高い熱輸送特性を得ることを目的として濡れ性こう配の形状について検討する.現在は一つのパターンしか製作出来ておらず,アスペクト比を変えることによって液滴排除効果,熱伝達率のさらなる向上を目指す.さらに,現在は濡れ性こう配を凝縮面に利用することを目的としてきたが,マイクロチャンネルやヒートパイプへの展開を検討している.その準備として,現在はステンレス板に濡れ性こう配を製作しており,その製作工程はほぼ確立された.現在マイクロチャンネルへの応用展開を行うべく,実験装置を製作している段階である.
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Causes of Carryover |
伝熱面の製作にかかる施設利用料として計画していたが,比較的順調に製作が進んだため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
アスペクト比を変更した濡れ性こう配を製作するための施設利用料として使用する計画である.
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Research Products
(2 results)