2013 Fiscal Year Research-status Report
幼年期児童の意欲を高める対話型物語創作支援システムの開発
Project/Area Number |
25871044
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Niihama National College of Technology |
Principal Investigator |
加藤 茂 新居浜工業高等専門学校, 電気情報工学科, 講師 (00413857)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 物語 / 学習支援 / 子供 |
Research Abstract |
子供が文章を書くという“学習”に積極的に取り組むことはあまりない。本研究では“学習”の壁を取り払い、楽しく意欲的に物語を作成できるソフトウェア開発を目的とする。特にアイデアを生み出す「創造力」と、考えをまとめて他人に言語表現で伝える「コミュニケーション能力」の育成が重要である。 物語を作る場合、絵を題材とすることで物語の想像が容易になる。そこで「絵を用いた子供のための物語創作支援システム」の開発を行ってきた。子供は4枚の絵を作成する。絵はマウスを使って背景にオブジェクトを配置することで作成できる。そして、それぞれの絵から考えられる文をシステムが提案する。子供は提案された文から、自分の想像したストーリに合った文を選択して物語を完成させる。被験者実験の結果、絵を題材として物語を作成する仕組が有効であることが確認された。しかし子供はシステムの提案した文を選び、組み合わせるのみであるため「創造力」「コミュニケーション能力」を育成するという点において改良の余地があった。25年度は絵を題材に物語創作を支援するという枠組において、どのようなシステムがより望ましいか再検討した。 絵作成インタフェースを子供が使いやすいよう再設計した。子供に4枚の絵を作成してもらい、自分が考えた物語文を口頭で述べてもらい、それを大人がキーボードで入力する実験を行った。絵と文章を合わせたものをプリントアウトし、アンケートに答えてもらった。そこで「文章入力を自分で行いたい」という意見が得られた。しかしキーボードでの文字入力は子供には困難である。一方ソフトウェアキーボードのようなマウス操作のみで文字入力が行える仕組であれば容易である。また自分で文章入力することで「創造力」「コミュニケーション能力」の育成につながる。そこで子供にとって使いやすい知的ソフトウェアキーボード開発の必要性が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者はこれまで、「絵から物語を自動生成するシステム」の開発を行ってきた。そしてそのシステムをプラットフォームとして「子供のための物語創作支援システム」の開発を行った。しかし、そのプラットフォームは本来「物語創作支援」という目的に特化したものではないため、不要な部分や改良を要する部分が多い。現システムを変更するよりも、むしろ作り直す方が、開発効率が良いと判断した。そこで「物語創作支援」に特化したシステムを基礎から再構築することとした。 今年度は絵作成インタフェースの改善、および、物語創作支援のための従来手法を組み込んだシステムを再構築することを計画していた。しかし、それぞれの絵から考えられる文をシステムが提案し、提案された文から、子供が自分のイメージした物語を完成させるという機能は未完成である。それよりも、創造力やコミュニケーション能力の育成により直結した機能(知的ソフトウェアキーボード)の実現が重要と考えたためである。そして、知的ソフトウェアキーボード機能を実現することで、年度当初の想定よりも、よりよいシステムに発展させることが可能であると考えている。現在は計画とは少し異なるが、新たな機能の搭載によってより発展性のあるシステムの開発に取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、25年度に行った被験者実験の詳細と明らかになった知見を学会で発表するための原稿準備を行っている。26年度は知的ソフトウェアキーボードの実現を行い、その成果やシステム評価に関する被験者実験に関する研究成果を学会で発表する計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度の研究成果について学会発表に参加するための旅費を計上していたが、学会発表の原稿作成が遅延してしまったため、26年度に学会発表を行う予定である。 25年度に行ったシステム開発に関する内容や被験者実験の詳細に関する内容を第30回ファジィシステムシンポジウムで発表する予定であり、現在は原稿執筆中である。次年度使用額は、学会発表の旅費に充てる予定である。
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