2013 Fiscal Year Research-status Report
繊維材料の風合い評価と質感認知に関わる神経メカニズムの統合的研究
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25871058
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
安川 涼子 奈良女子大学, 生活環境科学系, 助教 (30646633)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 質感 / 繊維材料 / 風合い / 物性 / 心理 / 脳情報 / 視触覚 |
Research Abstract |
生活必須素材である繊維材料(布)の質感を物性、心理・感性、脳神経の三分野から統合的に捉え、布の質感に関わる各情報の対応関係やそれらを繋ぐパラメータを解明することを目的としている。これらを検討するために、見た目には同じで質感が大きく異なる布を作製し、布の物性評価測定や布画像を用いたヒトを被験者とした心理実験等を行なった。 布の作製においては、質感特徴(糸の太さ・織密度・仕上げ加工・色・材質)を調整した。予備実験から、材質(ウール)・生成り色・平織を選択し、糸の太さと織密度を各2種類ずつ作製した。さらに、布は硬仕上げ加工の有無を施し、最終的に4種類×2組の布サンプルを作製した。作製した布サンプルは、KES装置(Kawabata Evaluation System、カトーテック(株))を用いて、布の風合い評価に関わる力学的物性を計測した。計測結果から硬仕上げ加工の有無によって各物性値が大きく異なることを確認した。一方、作製した布サンプルは、画像化し、心理実験に用いた。被験者に対して布サンプルの触覚経験前後(経験前:視覚のみ、経験後:視覚+触覚)での質感に対する心理的変化を、一対比較法及びSD法によって調べた。触覚経験が布の心理的印象に大きな影響を与えることがわかり、視覚的質感判断が触覚経験に一致する形で変化を受けることを明らかにした。 次年度以降において、力学的物性以外の物性の実験科学的な検討、fMRI装置等を用いて脳神経活動の計測を行ない、布の質感に関わる物性や脳活動を捉える。さらに物性-心理-脳活動に共通するようなパラメータの解明を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
fMRI装置のある研究所から大学への移動となり、実験の日程調整や研究室の新設などによりやや遅れを生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
被験者の確保や物性評価装置、実験用光源装置、解析ソフト(MATLAB等)、撮像データ保存用メディアなど、移動先での研究ができる体制を構築する。物性評価については新たな物性評価実験の検討、心理実験についてはさらに被験者数を増やしてデータを集める。fMRI装置の使用にあたってはこれまで在籍していた研究所の共同研究者と協力し、すみやかに進める。また、物性の測定結果、心理実験結果、脳活動計測結果の各データの統合的解析を試み、物性-心理-脳活動に共通するパラメータを解明できるようにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度への繰り越し額については、所属機関の移動に伴った科研費移動の執行の遅れ並びに消耗品の割引により発生した。これは次年度の実験に関する消耗品の購入や旅費に使用する。 次年度の研究費の使用は、主に物性測定用機器や薬品、標準光源装置の購入、fMRI測定等の実験や研究打ち合わせのための旅費、撮像データ保存用メディア、解析ソフト、被験者のための謝金等に用いる。また、情報収集や成果発表のための学会参加や文献検索の使用、論文投稿のための英文校閲にも用いる予定である。
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Research Products
(1 results)