2015 Fiscal Year Research-status Report
繊維材料の風合い評価と質感認知に関わる神経メカニズムの統合的研究
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25871058
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
安川 涼子 奈良女子大学, 生活環境科学系, 助教 (30646633)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 質感 / 繊維材料 / 風合い / 視触覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度から引き続いて、布サンプルの実物を用いた一対比較法およびSD法による心理実験と布サンプル画像を用いたfMRI計測を被験者数を増やして行った。繊維材料の触覚的質感(硬さ、柔らかさ)を手掛かりに視覚的質感(糸の太細、織目の粗密)との関係性を調べたところ、これまでと同様に触覚経験前後で心理的類似性に変化が見られ、触覚経験が視覚的な質感判断に影響する結果が得られたが、複数の被験者で確認することができた。また、fMRI計測結果についても昨年と同様に視覚的な物体認識や質感認知に関係する脳部位において活動が見られた。 繊維素材(織物・編物・天然繊維・再生繊維・合成繊維の単一・混紡、機能性繊維、季節向け繊維含む)を用いて、涼暖感・薄厚感・目の粗密感について心理的印象評価と繊維物性の関係について統計解析を行った。実験では、68点の市販の布帛サンプル(無色)を集め、KES(風合い計測)やJISに準拠した物性計測を行った。さらに、繊維素材を染色によるサンプル作製を行い、同様の実験を行うことを試みたが、繊維素材ごとの画一的な染色は困難であった。30名の被験者を対象に、68点の市販の布帛サンプルを用いて涼暖感・薄厚感・目の粗密感の観点から触覚のみによりSD法(7段階評定法)で評価を行った。統計的解析により、涼暖感と薄厚感については繊維物性と心理的印象に高い相関が見られた。涼暖感と薄厚感で繊維素材の心理的印象を物性値から予測するモデル式を導出することができた。触覚的涼暖感については温熱特性以外の物理特性も関与することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
心理実験およびfMRI計測実験は、生理学研究所で行っており、測定機器も生理学研究所のものを使用している。研究所と所属先が離れているため実験の日程調整の困難さや被験者の手配に手間取ったことにより、予定の実験をこなすことができずやや遅れを生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
日程の調整や被験者確保のために研究協力者と綿密な相談ならびに実験手順の再検討を行い、研究体制の構築を図る。
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Causes of Carryover |
次年度への繰越しについては、予定していた実験や研究打合わせのための旅費や消耗品に執行できなかったためである。期間延長の申請を行い、次年度の実験に使用予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の研究費の使用は主にfMRI計測等の実験や打合わせのための旅費、データ保存や発表用メディア、実験器具・薬品等に用いる予定である。
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Research Products
(1 results)