2013 Fiscal Year Research-status Report
液状検体を用いた唾液腺癌の診断および予後因子の検討
Project/Area Number |
25871069
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
佐藤 由紀子 公益財団法人がん研究会, がん研究所病理部, 研究員 (30365712)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 融合遺伝子 / 唾液腺 / 細胞診 |
Research Abstract |
本研究の目的は、唾液腺腫瘍において細胞診の診断精度をあげて治療選択および予後予測に役立てることにある。耳下腺腫瘍においては術前に穿刺吸引細胞診を実施するのが通常であるが、これまでの検討では正診率は71.2%で、小唾液腺の腺様嚢胞癌の症例に限ると更に低く30%となる。唾液腺腫瘍では、ときに良性、悪性が鑑別に挙がり、診断困難な例が少なくない。組織診断に際しては免疫染色が必須であり、最近では融合遺伝子の検索が診断確定および予後予測のうえで重要な意味を持ちはじめている。細胞診においては形態学的な検索が主流であるが、免疫染色や融合遺伝子の検索システムを導入することにより、診断精度が上がることが予測される。 本年度は唾液腺癌病理組織(10%ホルマリン固定/パラフィン包埋組織)を用い、融合遺伝子のスクリーニングを主に行った。組織マイクロアレイ(Tissue Microarray, TMA)を予定のおよそ半数(96例)で作成した。既知の融合遺伝子(CTNNB1-PLAG1, LIFR-PLAG1, NFIB-HMGA2, FHIT-HMGA2, WIF1-HMGA2, CRTC1-MAML2, CRTC2-MAML2, CRTC3-MAML2, EWSR1-POU5F1, NTRK3-ETV6, EML4-ALK)について、FISH法を実施した。現在は腫瘍細胞全体におけるFISH法での陽性細胞の割合や分布を検証している。本年は細胞診の形態学的な検討のみでは限界があるということ、細胞診での免疫染色が診断上有用であった症例を報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TMAの作成は申請者の所属する病理部のプロジェクトより、技術の継承を受け行っている。コアの大きさは当初予定していたφ2mmからφ1mmに変更して作成した。このことにより、一度に多くの症例に対して解析を実施でき、予定のおよそ半数の症例を作成し終えた。既知の融合遺伝子11種については、FISHによるスクリーニングをほぼ終えることができ、基本的な免疫染色を終えた。陽性症例については腫瘍全面での陽性率および分布の検討を行っている最中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に確立することができた手法を用いて、さらに症例数を増やしてFISH法を行う。得られた解析結果と形態学的な分類を比較検討を行っていく予定である。 また、細胞診への応用については、手術材料より捺印細胞診検体を採取する方法に変更し、多数の抗体での検討が施行できるようにする。さらに捺印細胞診検体からFISHの検討を予定している。十分な量の検体から検討したうえで、液状処理検体へ応用できるように検討を進める予定である。
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Research Products
(4 results)