2014 Fiscal Year Research-status Report
アクチン細胞骨格制御を介したがん浸潤性獲得機構の分子基盤とその制御
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25871074
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
大石 智一 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 主任研究員 (50442546)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ポリADP-リボースポリメラーゼ / 細胞運動 / 浸潤 / アクチン細胞骨格 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はポリADP-リボースポリメラーゼ(PARP)ファミリーの一員であるタンキラーゼ新規結合蛋白質TAB182の破綻がどのようにがんの細胞運動・浸潤に寄与するのか、またタンキラーゼによるTAB182の制御機構を明らかにすることを目的としている。本年度は以下の結果を得た。前年度同定したTAB182結合蛋白質のうち細胞骨格制御因子に焦点をしぼって解析を進めた結果、同因子はTAB182のC末端に近い部位を介して複合体を形成することがわかった。また、この因子はTAB182枯渇時に細胞骨格との相互作用を失うことが確かめられた。さらにこの因子を枯渇させるとTAB182を枯渇させた時と同様に細胞浸潤能を亢進させることが明らかになった。これらの結果から、TAB182は自身と複合体を形成している細胞骨格制御因子を介して細胞運動・浸潤に寄与していることが考えられた。次にタンキラーゼ過剰発現もTAB182を枯渇させた時と同様に細胞浸潤能を亢進させることから、タンキラーゼ過剰発現時にTAB182の蛋白質量が変化するかを検討したが、この変化は認められなかった。このことからTAB182がタンキラーゼによってポリADP-リボシル化されるかを試験管内のアッセイで検討した結果、同修飾が確認できた。これらの結果から、TAB182は細胞内においてタンキラーゼにポリADP-リボシル化されることにより細胞骨格制御因子との相互作用を失い、その結果として細胞運動・浸潤につながることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の目標であるTAB182とタンキラーゼを介した細胞運動・浸潤機構の解明は進んだが、同機構を包括的に理解するための検討がさらに必要であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き本課題の検討を行い、TAB182とタンキラーゼによる細胞運動・浸潤の分子機構を包括的に理解するとともに、人為的にそれらを抑制する手段の確立を目指す。
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Causes of Carryover |
本研究の目標であるTAB182の細胞レベルでの検討は順調にすすみ、TAB182を枯渇した細胞が細胞運動・浸潤能を獲得する分子機構の大部分が明らかになった。しかしながら、同分子機構を制御する上流の因子の同定に関して多くの検討を重ねたため、分子をしぼりこむのに時間がかかったことから、その後の検討がまだ十分進んでおらずさらなる解析を行うこととしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これまでの検討と過去の知見から、TAB182を介した細胞運動のシグナル伝達経路の上流に関与する分子を数個にしぼっており、これらの関与の解析に必要な各種抗体、生化学的な研究試薬等を購入予定である。
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Research Products
(4 results)