2014 Fiscal Year Research-status Report
建物の屋根積雪性状の予測・評価手法構築に向けた屋根積雪多層熱収支モデルの高度化
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25871085
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Research Institution | Hokkaido Research Organization |
Principal Investigator |
阿部 佑平 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 建築研究本部北方建築総合研究所, 研究員 (70614147)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 屋根雪 / 数値モデル / 水分移動モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、気象条件と建物側からの熱的影響により変化する屋根積雪性状を予測・評価する手法を構築するために、これまで申請者が開発してきた屋根積雪多層熱収支モデルに、雪の特性を考慮し、勾配屋根に対応した融雪水の水分移動モデルを組み込むことで、数値モデルの高度化を図ることを目的としている。平成26年度の研究実績は、以下の通りである。 1.屋根面融雪水の発生とその挙動解明のための屋根雪実験: 建物の屋根を模擬した試験体を作成し、屋外実験を行った。屋根雪に全天日射量と天空日射量をあてた場合を比較すると、融雪水量は日射量により異なることを把握した。また、試験体底面に氷板が形成された前と後では、融雪水の出水に異なる傾向が見られ、融雪出水量は雪質により異なることを明らかにした。次に、屋外実験の結果を踏まえ、雪質の違いを考慮した屋根雪の実験室実験を行った。30cm×30cm×30cmの試験体を作成し、雪質を3種類(①氷板2cm+ざらめ雪28cm、②ざらめ雪15cm+しまり雪15cm、③しまり雪30cm)設定し、実験室温度を3℃と5℃、試験体勾配を5°の条件で実験を行った。底面に氷板がある①では、融雪水の出水が最も早く、次いで②、③の順になった。また積算暖度と融雪水量の関係から、①<②<③の順に融雪速度が大きくなることを把握し、雪質と温度が融雪出水量に与える影響を定量化した。 2.実建物を対象とした屋根雪観測: 前年度に観測を行った同じ実建物(北海道旭川市、屋根勾配2.5寸)を対象に、勾配屋根の屋根雪観測を行った。観測では、屋根上積雪深、積雪重量、積雪密度、雪温を測定し、2冬期分のデータを蓄積した。 3.屋根積雪多層熱収支モデルの高度化: 勾配屋根に対応した融雪水の水分移動モデルの開発に先立ち、積雪や雪崩の分野における既往研究を整理した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の研究実施計画を着実に遂行することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
雪の特性を考慮し、勾配屋根に対応した融雪水の水分移動モデルを開発し、これまで申請者が開発してきた屋根積雪多層熱収支モデルに組み込む。また、屋根雪実験と屋根雪観測で入手したデータを用いて数値モデルの妥当性検証を行うとともに、モデル係数のチューニングを行い、解析精度の向上を図る。さらに、開発した数値モデルを用いて、建物仕様や気象条件の違いが屋根積雪性状に与える影響を定量的に把握する。なお、得られた成果は順次、論文として公表する。
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Causes of Carryover |
実験で使用した試験体の作成費用を安価に抑えることができたため、次年度使用額が生じることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の研究費は、①研究成果発表や研究打合せのための旅費、②論文投稿費用、③図書購入費用、④コンピュータ関連の消耗品購入費用に使用する。なお、次年度使用額は旅費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)