2014 Fiscal Year Annual Research Report
カンクリナイト単結晶を用いたイオン交換能の研究および環境再生材料としての性能評価
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25871090
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
越後 拓也 滋賀大学, 教育学部, 講師 (30614036)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 多孔質結晶材料 / 除染 / 放射性元素 / 高pH |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、昨年までの研究で確立された条件下で育成されたカンクリナイト単結晶を用いた精密な結晶構造解析、セシウムやストロンチウムを吸着する際の席選択性の解析、熱分析実験に基づく減容法の検討を行った。カンクリナイト族の鉱物は一般的に大きな結晶を育成するのが難しく、本研究で対象としているようなアルカリ元素に富むカンクリナイトは、これまで粉末X線回折データに基づいて結晶化学的な研究が行われてきた。しかし本研究では、1mm程度のカンクリナイト単結晶をルーチンワークで育成する手法を確立しているため、非常に良質な結晶化学的データが得られる点に新規性がある。電子線マイクロプローブ分析(EPMA)によって得られた化学組成はNa8(SiAlO4)6(CO3)(H2O)2であり、単結晶X線回折データに基いて得られた結晶学的データはa = 12.6362(7) A、c = 5.1400(3) A、V = 710.77(7) A2、Z = 1 であった。四面体サイトのT-O距離を検討したところ、AlとSiの分布は強く秩序化しており、そのために対称性が下がっていることが明らかになった。セシウムおよびストロンチウムを吸着させた際の席選択性を比較した結果、セシウムはA1席よりもA2席を交換する可能性が高く、ストロンチウムはA1席とA2席を均等に交換する傾向が認められた。示差熱重量分析の結果に基いてこれらのカンクリナイトを加熱した際の挙動を調べた結果、800℃でフレームワークからCO2分子が離脱するが、エキストラフレームワークサイトを占有するアルカリ金属は固体中に保持されていた。以上の実験結果から、カンクリナイトは高pH環境でセシウムやストロンチウムを効率よく吸着し、しかも加熱処理による減容化が可能な多孔質結晶材料であることが明らかになった。
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