2013 Fiscal Year Research-status Report
イオンビーム誘発突然変異育種技術によるセシウム濃縮菌の開発
Project/Area Number |
25871092
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
佐藤 勝也 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 研究副主幹 (90370402)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 微生物バイオレメディエーション技術 / 放射線抵抗性細菌 / デイノコッカス属細菌 / イオンビーム突然変異育種 / 放射性セシウム / セシウム蓄積能 / 環境保全 |
Research Abstract |
イオンビーム誘発突然変異育種技術によるセシウム濃縮菌開発のために、放射線抵抗性細菌であるデイノコッカス属細菌の中から、セシウム濃縮に適した微生物種を選定した。具体的には、セシウムを含む液体培地で6種のデイノコッカス属細菌(ラジオデュランス、グランディス、プロテオリティカス、ラジプグナンス、ジオサーマリス及びマーレイ)を培養後、原子吸光分析技術を用いて菌体内のセシウム吸収量を指標として、微生物種を選定した。その結果、ラジオデュランス及びグランディスが他に比べて菌体内のセシウムを蓄積する能力を持つことを明らかにした。さらに、効率的な突然変異誘発に向けたイオンビーム照射条件を検討した。イオンビームは、異なる突然変異誘発効果を期待し、線質の異なる5種のイオンビーム(4He2+、12C6+、12C5+、20Ne8+及び40Ar13+)を照射し、生存率を測定すると共に抗生物質(リファンピシン及びストレプトマイシン)に対する耐性獲得を指標とした突然変異株の出現頻度を測定した。抗生物質耐性変異株の出現頻度は、いずれのイオンビームに対しても、生存率がおよそ1~10%の範囲で最も高いことを明らかにした。この結果から、この生存率の範囲となる放射線量が、突然変異株の創成には最も適していると考えら、イオンビーム照射による突然変異誘発に関する重要な知見が得られた。今回決定した照射条件を元にデイノコッカス属細菌にイオンビームによる突然変異誘発処理を行い、突然変異株集団の作製を行っている。さらに、原子吸光分析技術及び放射性セシウム137によるセシウム蓄積能画像化技術を用いて、得られた変異株集団からセシウム蓄積能の向上した変異株の選抜に着手した。平成26年度は、これら変異株選抜技術を用いて、セシウム高濃縮変異体を選抜すると共に、得られた変異株の有用特性向上の要因を明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、イオンビーム誘発突然変異育種技術によるセシウム濃縮菌開発について、セシウム濃縮に適した微生物種の選定、効率的な突然変異誘発に向けたイオンビーム照射条件の確立及びセシウム能蓄積能向上変異株の選抜を実施しており、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
イオンビーム照射によって作製した突然変異株集団から、セシウム能蓄積能の向上を指標とした変異株の選抜を実施すると共に、得られた変異株のゲノムDNAの塩基配列解析によりセシウム蓄積能向上の要因を明らかにすることで、セシウム濃縮菌を開発し、環境保全を踏まえた有用微生物資源の利用に向けた研究を推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
調達方法の工夫などにより、経費の節約ができたため。 実験消耗品等の物品費として使用する。
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