2014 Fiscal Year Annual Research Report
イオンビーム誘発突然変異育種技術によるセシウム濃縮菌の開発
Project/Area Number |
25871092
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
佐藤 勝也 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 研究副主幹 (90370402)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 微生物バイオレメディエーション技術 / 放射線抵抗性細菌 / イオンビーム突然変異育種 / 放射性セシウム / 環境保全 |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線抵抗性細菌デイノコッカス・ラジオデュランスを供試菌として、イオンビーム誘発突然変異育種技術によるセシウム濃縮菌の開発を実施した。ラジオデュランスにおいて、突然変異誘発効果の高い生存率が1~10%の範囲となるようにイオンビームを照射し、突然変異株集団を作製した。放射性セシウム137によるセシウム蓄積能画像化技術を用いて、作製したラジオデュランスの突然変異集団から野生株よりもセシウム蓄積能の向上した変異株の選抜を行った。その結果、約3,000株の変異集団の中から、野生株より2倍以上濃縮する33株のセシウム濃縮菌候補株を選抜することに成功した。 また、生体高分子であるポリリン酸は、リン酸が直鎖状に結合したポリマーであり、微生物の細胞内では負電荷を持つ形で蓄積されていることから、正電荷を持つセシウムを補足し、細胞内に蓄積できると考えられている。そこで、遺伝子工学的手法により、ラジオデュランスのポリリン酸生合成関連遺伝子群の破壊株及び過剰発現株を作製し、ポリリン酸及びセシウム蓄積能への影響について解析を行った。その結果、ラジオデュランスにおいて、ポリリン酸蓄積及びセシウム蓄積に正の相関がみられ、細胞内のポリリン酸蓄積量を増加させるこことでセシウム蓄積量を向上することを明らかにした。さらに、細胞内のポリリン酸を高蓄積が、ラジオデュランスの放射線耐性を低下させることはなかったことから、放射能汚染環境下での利用も期待できる。 以上のことから、ラジオデュランスを用いて、セシウム蓄積能向上の要因の一端を明らかにしセシウム濃縮菌開発に重要な知見を得られたと共に、有用なセシウム濃縮菌候補株を取得することができた。今後、これらの知見を基に、微生物バイオレメディエーションによる省労力かつ安価な放射性セシウム除染技術・減容化技術を確立することが課題である。
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Research Products
(8 results)