2014 Fiscal Year Annual Research Report
重粒子線治療における低エネルギー光子を用いた体内照射深度モニタリング手法の開発
Project/Area Number |
25871094
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
山口 充孝 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 高崎量子応用研究所 放射線高度利用施設部, 研究員 (10375404)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ビームモニタリング / 粒子線治療 / 二次電子 / 制動輻射 / モンテカルロシミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
照射イオンの体内到達深さのリアルタイムモニターは、照射中にその深さを検知することで、治療の信頼性の向上につながる。しかし、従来の陽電子消滅ガンマ線による手法はガンマ線発生量が極端に少なく、リアルタイムでのモニターは困難であった。本研究では、発生量の大きな低エネルギー光子(約 65 keV)により到達深さの推定が可能となる技術の開発を目指す。 前年度は、粒子線入射時に発生する低エネルギー領域の放射線の種類、エネルギー、放出量等を正確に把握できるシミュレーション環境を構築した。今年度は、まず、上記の環境を用いて実際にシミュレーションを実施し、イオン照射時に検出器に到達する粒子が、二次電子制動輻射を主成分とする光子及び中性子であり、それ以外の粒子は無視できることを示した。さらに、この結果を基に、ピンホールコリメータと位置敏感型のシンチレーション検出器とを組み合わせた光子検出による到達深さリアルタイムモニター装置を設計、試作し、実際に試験を実施した。その結果、観測光子数に深さ方向の依存性が現れず、現状の試作機での到達深さのモニターが困難であることがわかった。 この現象をシミュレーションするためには莫大な計算量が必要となるため、大型計算機を用いて計算を実施した。その結果、装置の構成要素のシンチレーション結晶で生じる散乱光子によるバックグラウンド事象内に、制動輻射の信号が埋もれてしまい、到達深さ決定精度が悪化していることが分かった。そこで、再度結晶の材質及び形状の最適化を目的としたシミュレーションを実施した結果、結晶部分を厚さ 1 mm 程度のガドリニウムアルミニウムガリウムガーネット結晶に交換することで到達深さを精度よく計測可能となる装置を制作可能であることを示し、これによって本研究の目的をほぼ達成できることを示した。
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