ため池堤体の弾性波速度モニタリングを活用した耐震性評価手法の開発

2013 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 25871097
• Research Category: Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
• Research Institution: National Agriculture and Food Research Organization
• Principal Investigator: 上野 和広 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究所・施設工学研究領域, 研究員 (60560167)
• Project Period (FY): 2013-04-01 – 2016-03-31
• Keywords: 非排水繰返し載荷 / 弾性波速度 / 作用応力依存性 / 拘束圧依存性 / 載荷速度依存性

Research Abstract

平成25年度の研究計画および目的は、1.予備試験により弾性波速度を測定する頻度および応力状態を設定する、2.拘束圧が繰返し載荷中における弾性波速度変化へ与える影響を明らかにする、3.載荷速度が繰返し載荷中における弾性波速度変化へ与える影響を明らかにする、であった。
繰返し載荷中の応力状態と弾性波速度の関係については、繰返し載荷中に等方、圧縮および伸張といった様々な応力状態で弾性波速度を計測することにより、弾性波速度の低下が等方応力状態よりもせん断力が作用している圧縮および伸張状態で大きくなることを明らかにした。
弾性波速度の拘束圧依存性については、圧密応力を段階的に載荷しながら弾性波速度を計測することにより、拘束圧と弾性波速度の関係を明らかにした。また、繰返し載荷前の拘束圧に異なる値を採用した試験を実施し、初期拘束圧の相違が繰返し載荷中の弾性波速度変化に与える影響を明らかにした。圧密時と同じ等方応力状態の場合、繰返し載荷前の拘束圧が異なっていても拘束圧と弾性波速度の関係はほぼ同一のものとなった。ただし、せん断力が作用している圧縮および伸張応力条件では、等方応力条件よりも弾性波速度は小さくなった。
繰返し載荷時の載荷速度が弾性波速度に与える影響については、繰返し載荷の載荷周波数を変化させることにより検討を行った。異なる載荷周波数を採用した試験結果を比較すると、いずれも同じ傾向で弾性波速度は低下した。これより、繰返し載荷中における弾性波速度の低下に対する載荷周波数依存性は小さいことが明らかとなった。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成25年度に実施予定の試験を計画通り行い、作用応力状態と弾性波速度の関係、拘束圧と弾性波速度の関係、載荷速度と弾性波速度の関係を明らかにしたため、平成25年度の研究は順調に進展している。平成25年度の研究目的を計画通り達成できたことから、平成26年度に実施予定の、「材料の物性と繰返し載荷に伴う弾性波速度変化の関係を評価」での試験条件を設定することができる。

Strategy for Future Research Activity

平成26年度は、1.ため池堤体土の物性が弾性波速度変化へ与える影響の解明、2.ため池堤体土の密度が弾性波速度変化へ与える影響の解明、を目的として検討を行う。
具体的には、1.ため池堤体土の物性調査結果に基づき、堤体土として想定される材料を複数選定する。2.それらの材料を用いて繰返し載荷試験を実施し、材料の物性と繰返し載荷に伴う弾性波速度変化の関係を明らかにする。3.上記の材料を異なる密度で締固めた供試体を用いて繰返し載荷試験を実施し、密度の相違と繰返し載荷に伴う弾性波速度変化の関係を明らかにする。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

購入した機器の想定価格（カタログでの値）と実際に見積りをとった際の価格が完全に一致せず、端数が生じたため。
次年度使用額は、平成26年度に行う実験で使用する消耗品の購入にあてる。