2013 Fiscal Year Research-status Report
単子葉イネ科牧草トールフェスクにおける二次細胞壁合成機構の解明
Project/Area Number |
25871101
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
佐藤 広子 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所飼料作物研究領域, 主任研究員 (50391363)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | トールフェスク / 牧草 / 細胞壁 / 消化性 / 遺伝子 |
Research Abstract |
植物の二次細胞壁は生育が進むにつれて肥厚し、牧草では家畜が摂取した際に消化性を低下させる。生育に悪影響を及ぼさずに二次細胞壁合成を制御するには、時期・組織特異的な細胞壁合成機構の解明が不可欠である。これまでに、イネSWN2キメラリプレッサーを導入した単子葉イネ科牧草トールフェスク組換え体の解析により、SWN2が二次細胞壁合成に関与することを示した。SWN2が制御する細胞壁合成に関わる下流遺伝子は、野生型では正常に発現しているが、SWN2組換え体では発現が抑制されていると考えられる。本研究では、単子葉イネ科牧草の二次細胞壁合成機構の解明に取り組むため、野生型とSWN2組換え体の遺伝子発現の比較により、細胞壁合成関連遺伝子を単離して、その機能を明らかにする。 今年度は、野生型出穂茎からSWN2組換え体出穂茎の発現遺伝子を差し引くサブトラクション法を行い、野生型由来の1,536クローンからなるcDNAライブラリーを作製した。さらに、サザンハイブリダイゼーション法によるディファレンシャルスクリーニングを行い、野生型でのみ強い発現、もしくはSWN2組換え体より強い発現を示す245クローンを単離した。相同性検索の結果、リグニン生合成経路上の酵素遺伝子やNAC転写因子とMYB転写因子に高い相同性を示す遺伝子が得られた。NAC転写因子やMYB転写因子等複数の転写因子は、シロイヌナズナ等において二次細胞壁合成に関与することが明らかになっているため、細胞壁合成への関与が推定されるこれら候補遺伝子及びプロモーターの機能解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
サブトラクション法により、野生型で強い発現を示すcDNAから細胞壁合成への関与が推定される候補遺伝子を単離できたため、おおむね順調に進行している。しかし、データ解析等に時間を要し、プロモーターの単離についてはやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
単離した候補遺伝子の機能を抑制した組換え体を作出し、サザンハイブリダイゼーション法とRT-PCRにより、遺伝子導入と発現を確認する。組換え体の栄養生長期における表現型、葉の二次細胞壁の構造と飼料成分等を解析し、遺伝子機能を推定する。プロモーターについては、活性部位を特定するため、GUS遺伝子と連結したコンストラクトを作製し、トールフェスクに導入する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額17,075円は、研究費を効率的に使用した結果により生じた残額である。 研究計画遂行のため次年度の研究費と併せて使用する。研究費は、物品費(組織培養や遺伝子解析用の試薬及び消耗品)と旅費(学会発表用旅費)に使用する。
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