2013 Fiscal Year Research-status Report
2重SOIウエハを用いた計数型ピクセル検出器の開発
Project/Area Number |
25871110
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
三好 敏喜 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教 (20470015)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 半導体検出器 / SOI |
Research Abstract |
ピクセル毎に高速処理回路を搭載した、ワンチップ型のピクセル検出器を開発して、次世代ピクセル検出器として実用化できるレベルまで完成させる。具体的には、(1) CMOS 回路の性能を向上させる技術であるSOI ( Silicon - on - insulator ) 技術を用いて、ピクセル内で高速処理を行って検出情報をデジタル化する。(2) SOI 基板にセンサを形成させて、センサと回路が一体になったワンチップ型の検出器を作る。(3) 回路とセンサが近いことによる諸問題克服のために、2 重SOI ウエハを使用する。普及しているピクセル検出器は電荷積分型が多く、ノイズやダイナミックレンジに制約がある。本研究でピクセルサイズ50um内にデジタル処理回路を含む計数型ピクセル検出器を製作し、ノイズフリー、高いダイナミックレンジの特徴を生かしてさまざまな応用研究への適用を試みる。今年度は、過去に2重SOIを用いて製作した積分型センサのアナログ特性を調べ、放射線耐性について調査した。その結果、中間層の有無によるセンサゲインの変化について評価することができ、中間層の電位コントロールにより2Mradまでの耐性を確認した。設計の工夫でさらなる耐性向上が期待される。上述の試験と並行して、2.9 mm 角面積内に計数型ピクセル検出器を設計した。まずはじめに、これまでに試作したことがある計数型ピクセル回路に対して、2 重SOI用に構成を組み直し、ピクセルサイズ64um角の2重SOI計数型ピクセル検出器をデザインし、SOIプロセスに投入した。その後、レイアウト最適化に取り組み、ピクセルサイズ50umまでレイアウトを縮小することに成功した。このデザインについては次年度のプロセスに投入予定である。また、2重SOIウエハを用いたSOIセンサ開発について、国内、国外会議で成果を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2013年度からはp型の2重SOIウエハが使用される予定だったが、ウエハの歩留りが悪く、初回製作が大幅に遅れている。ようやく支給のめどがついたので、2014年度は2013年度分もまとめてセンサー開発が行われる予定である。また、センサゲインについて新たな知見が得られ、設計の変更が必要となったので、目標である50umピクセルサイズのピクセル検出器のプロセス投入を半年遅らせた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度、新規2重SOIウエハが入手され次第、止まっていた検出器開発が複数プロセス分一括で行われるので、完成チップの評価試験をまとめて行う。今年度の初回プロセスにて、目標である50um角、14ビットカウンタを搭載した計数型ピクセル検出器を、2重SOIウエハーを用いて製作する。チップ面積は歩留りや取得枚数を考慮した結果、6mm角内に検出器デザインを行うこととした。2重SOIを使用することで、次の3つの問題点を克服できることを確かめる。(A) 回路とセンサが近いことから、センサ裏面に高電圧を印加すると表面(SOI 層)の回路特性が変化する(バックゲート効果)(B) 回路とセンサが近いことから、両者の間に干渉が起こる(クロストーク)(C) 回路とセンサを薄い絶縁酸化膜で分けているために、放射線量が多いと酸化膜に正孔が蓄積して回路に影響を与える(イオン蓄積効果、あるいはTID 効果)。チェッキングソースや封入管式X線発生装置からのX線、放射光X線を用いて、放射線感度調査を行う。高速パルス光源を用いて、100kHz で正しく回路駆動できているかどうかを調査する。X 線を2Mrad 以下照射し、照射前後での回路挙動の違いを評価する。また、国内外の会議で成果発表を行う。
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Research Products
(2 results)