2013 Fiscal Year Research-status Report
エクサスケール計算機システムに最適な格子QCDアルゴリズムの開発
Project/Area Number |
25871116
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中村 宜文 独立行政法人理化学研究所, 計算科学研究機構, 研究員 (40598231)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 格子QCD / クリロフ部分空間法 / モンテカルロアルゴリズム |
Research Abstract |
本年度はシフト方程式に対するブロッククリロフ部分空間法をQR分解を使って安定化した共役勾配法(SBCGrQ法)とRational Hybrid Monte Carlo法(RHMC法)を用いた配位生成コストを調べた。また、Xeon Phi搭載のワークステーションを購入し、プログラムの性能測定及び最適化作業を行った。 当初の計画通り、SBCGrQ法の右辺ベクトルの数を128まで網羅的に変えたときの安定性及び収束までの反復回数を調べた。用いた配位は、格子サイズが32^3x64の2+1フレーバーの0(a)改良されたウィルソンクォーク作用の物理点のものである。一般的にブロッククリロフ部分空間法は右辺ベクトルが増加すると不安定になるが、QR分解のおかげで右辺ベクトル数が128でも安定して解を求めることができることを確認した。また、反復回数が右辺ベクトルの数にほぼ比例して減少することがわかった。 RHMC法の一つのアルゴリズムパラメーターセットで配位生成コストを調べることができた。最適なアルゴリズムを見つけるためにはパラメーターを系統的に変えた実験が必要である。 Xeon Phi搭載のワークステーション上でのSBCGrQ法の実行性能はホストPCでは約20%と良好なものであったが、MIC上ではベクトル化やプリフェッチ等が効いておらず約1%であったが、単純な線形代数計算の部分に関してはほぼ理論ピーク性能が得られることが確認できた。 次年度は、これらのことをふまえて、RHMC法のアルゴリズムパラメーターを系統的に変えたときの配位生成コストについての研究とMIC上でのプログラムの最適化を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度予定してたSBCGrQ法の収束安定性と右辺ベクトル数の関係については明らかにできたが、RHMC法を用いた配位生成コストに関しては調べたアルゴリズムパラメータセットの数がすくなく調査が不十分であった。 Xeon Phi搭載のワークステーションが予定より早く調達できたため、次年度に予定していたMIC上でのプログラムの最適化作業を始めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
RHMC法を用いた配位生成コストに関しては、当初、独立配位生成コストをで評価する予定でああったが、物理点では自己相関時間がながく莫大な計算時間がかかるため、一モンテカルトステップのコストと採用率をつかって評価する。これにより、配位生成コストの調査を加速することができる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Xeon Phi搭載ワークステーションを予定より安く購入できた。 計算を加速するために計算機使用量に充てる。また、配位の有効利用のため配位保存用のファイルサーバーを購入する予定である。
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