2013 Fiscal Year Research-status Report
がんのその場診断のための体液前処理用グラフト型自律駆動マイクロチップの開発
Project/Area Number |
25871118
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
石原 量 独立行政法人理化学研究所, 前田バイオ工学研究室, 特別研究員 (30633507)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | microRNA検出 / 自律駆動マイクロチップ / 高感度 / 短時間 |
Research Abstract |
本研究の目的は,体液中に含まれるがんなどの疾患のバイオマーカーとして期待されているmicroRNAを高感度に検出可能な,自律駆動マイクロチップを開発することである。マイクロチップは,microRNA抽出部位および検出部位からなり,本年度は特に,検出部位のmicroRNA検出の高感度化に従事した。今年度は,主に以下の3つの成果を得た。 1. これまで我々のラボで行われてきたシグナル増幅法(層流樹状増幅法)を適用しない系におけるmicroRNAを検出する蛍光標識剤に,量子ドットを用いることで,これまでのFITCを用いた時よりも1ケタ低い検出限界値 50 pM を達成した。 2. プローブDNA付近の流路高さを低くすることにより,プローブDNAへのmicroRNAの供給量を増加さ,検出感度の向上を狙ったが,流路高さが一定の場合と比較して,検出限界値に差が出なかった。このことから,検出限界値は“供給”ではなく,“反応”が律速であるということがわかった。 3. シグナル増幅を適用する系においては,3種類のmicroRNAをトータルの分析時間20分で同時かつ配列特異的に検出できることを実証した。検出感度は,数十fMからpMであった。この研究を通じ,本手法を用いた検出感度はmicroRNAの配列に大きく依存することが分かった。 2, 3の結果より,検出感度の決定には,プローブDNAとmicroRNAのアフィニティがキーファクターであり,プローブDNAの構造や,人工塩基の導入といったアフィニティの変化させる工夫をすることで,高感度化,さらには検出感度をコントロールすることが可能であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本計画では,マイクロチップの,“検出”部位および“抽出”部位を統合することを目標としているが,今年度は検出部位の作製に時間がかかったため,抽出部位の開発がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,計画にあるように,エクソソーム捕捉用のグラフト型自律駆動マイクロチップの開発に着手する。 グラフト重合条件の検討,グラフト鎖自身のキャラクタリゼーション後,マイクロチップのエクソソーム捕捉性能を評価する
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の通り,本計画では,マイクロチップの検出部位および抽出部位を統合することを目標としているが,今年度は検出部位の改善に時間がかかり,抽出部位の開発が遅れたため未使用額が発生した。 H26年度からは,職場もバイオマテリアルかつ,グラフト重合を行っている東京理科大学に変更し,より本プロジェクトを推進するのに適した環境となった。さらに,本プロジェクトが研究業務の中心となるため,エフォートを当初の20%から大幅に割くことが可能である。 使用計画としては,職場が変わったためまず,研究備品の調達,つぎに,グラフト重合,さらに,グラフト型自律駆動マイクロチップの評価として,エクソソーム抽出キットとの比較をすすめていく。
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Research Products
(8 results)