2014 Fiscal Year Research-status Report
がんのその場診断のための体液前処理用グラフト型自律駆動マイクロチップの開発
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25871118
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
石原 量 東京理科大学, 基礎工学部, 助教 (30633507)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | microRNA検出 / 自律駆動マイクロチップ / 放射線グラフト重合 / その場診断 / 高感度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,体液中に含まれるがんなどの疾患のバイオマーカーとして期待されているmicroRNAを高感度に検出可能な,自律駆動マイクロチップを開発することである。マイクロチップは,microRNA抽出部位および検出部位からなり,本年度は,抽出部位の作製に必要な基盤技術となるグラフト重合法を確立した。また本手法により作製したグラフト材料が抽出だけではなく検出にも利用できることに着目し研究を進めた。今年度は,主に以下の3つの成果を得た。 1.マイクロチップ流路内に,電子線グラフト重合を用いて高分子鎖(ポリグリシジルメタクリレート)を付与する手法を確立した。その過程の書かで以下のことを明らかにした。(1)電子線照射施設へ郵送する際の,溶媒条件,サンプルの保存方法, (2) 電子線がポリジメチルシロキサンの自家蛍光に与える影響 2. プローブDNAの付与した高分子鎖上への3次元的な固定により,これまでのガラス基板上での2次元的な固定に対して約3倍の固定量を達成した。 3. 作製したグラフト型のマイクロチップに層流樹状増幅法を適用することで,miR-500a-3p(肝臓がんのバイオマーカー)を0.7 pMで検出可能であることを示した。必要なサンプル量および検出にかかる時間は,これまでの理研の方法と同じ0.5 µLおよび20分であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抽出マイクロチップ作製の際にもっとも重要となる放射線グラフト重合条件を確立できたから。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は主に電子線を用いたグラフト重合に従事した。今年度は,より精密に高分子鎖を設計するためにUVを用いたグラフト重合に挑戦する。また,層流樹状増幅法に高分子鎖のコンフォメーションが与える影響についても検討する予定である。また,生物工学科の同僚の協力を仰ぎ,当初の予定通りエクソソーム捕捉・破砕に着手する。
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Causes of Carryover |
昨年度は理化学研究所から東京理科大学に移動したことから,乾燥機など必要な備品をそろえた関係で,申請額をほぼ使い切った。数万円残っている理由は,来年度は使用期限が短く,価格の高い生化学試薬を多く必要とするため,来年度試薬を購入したほうが実験が適切に行えると考えたため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は上記の通りエクソソームの実験を開始するため,生化学試薬を多く使用し,また参加する学会の旅費で使用する予定である。
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Research Products
(7 results)