2015 Fiscal Year Annual Research Report
がんのその場診断のための体液前処理用グラフト型自律駆動マイクロチップの開発
Project/Area Number |
25871118
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
石原 量 東京理科大学, 基礎工学部, 助教 (30633507)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 表面機能化自律駆動マイクロチップ / バイオマーカー / マイクロRNA / その場診断 / 放射線グラフト重合法 |
Outline of Annual Research Achievements |
がんのバイオマーカーとして体液中を循環するmicroRNA (miRNA)が期待されている。本研究では,がんのその場診断実現のために,グラフト型の自律駆動マイクロチップを用いてmiRNAの高速・高感度検出をめざした。自律駆動マイクロチップとは2004年に発明された外部動力を必要としないマイクロチップのことで,持ち運び可能なことからその場診断を実現する材料として期待できる。本研究ではその自律駆動マイクロチップの流路内表面から放射線グラフト重合法によって高分子鎖を成長させ,その後,望みの機能を容易に付与することのできる,グラフト型自律駆動マイクロチップを作製した。 本研究ではまず,高分子鎖にプローブDNAを固定化することにより,miRNAを検出することのできるマイクロチップへと機能化した。ターゲットとなるmiRNA には,肝臓かんのバイオマーカーであるmiR-500a-3pを用いた。本グラフト型マイクロチップを用いて,0.5マイクロリットルのサンプル中から15分でmiRNAをサンドイッチ法では検出下限値0.5 nM, 層流樹状増幅法では,0.75 pMでターゲット選択的に検出できることを実証できた。重合条件の最適化および層流樹状増幅法によって,感度を大幅に向上することができた。 つぎに,miRNAは体液中ではさまざまな形態で存在し,RNaseからの攻撃を免れている。その一つの存在形態に,細胞外ベシクルによる内包がある。本研究では,流路内表面に抗体を固定することによって,miRNAを内包している細胞外ベシクル捕捉用のマイクロチップへと機能化できることがわかった。以上より,本グラフト型自律駆動マイクロチップは,持ち運びが可能であり,望む機能を容易に付与できることからPOC診断を実現する材料として今後の応用が期待できる。
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Research Products
(14 results)