2013 Fiscal Year Research-status Report
RNAサイレンシング経験植物に影響を及ぼす化合物の作用解析
Project/Area Number |
25871119
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
栗原 志夫 独立行政法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 研究員 (60455342)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ケミカルスクリーニング / RNAサイレンシング / 農薬 |
Research Abstract |
RNAサイレンシングとは、内在性RNAの配列と相同な配列または相補的な配列をもつ外来性RNAを導入すると両RNAが分解を受けるという現象である。植物において、RNAサイレンシングによる発現抑制機構が遺伝子組換による特定遺伝子の高発現を妨げていた。本研究の目的は、RNAサイレンシングによって抑制された遺伝子の発現を復帰させることができる新規化合物を同定し、それらの化合物のRNAサイレンシング経路内での作用点を明らかにすることである。一次スクリーニングとして96穴プレート上で、保有する約6千種の化合物をGFP-OLE融合タンパク質の遺伝子がサイレンシングしたシロイヌナズナに添加し、それらをUV照射下で撮影した。GFP蛍光強度をImage-Jソフトウエアを駆使した画像解析によって数値化し、GFPの蛍光が復帰するものを探索した。その結果、少なくとも70の化合物がGFP蛍光を何らかの理由により強めることがわかった。それらのうち、およそ8割の化合物は、植物の生長を阻害するものであった。さらに二次スクリーニングをおこない、今後の解析に進める約10種類の化合物を選んだ。一方、候補化合物の作用点を調べるため、BY-2懸濁細胞から作製したライセートを用いたRNAサイレンシングの実験系を確立した。この実験系を用いることにより、候補化合物がAGOによる標的mRNAの分解を阻害できるかを調べることができる。現在までに、この実験系を用いて候補化合物AがAGOによるmRNA分解を阻害できるかをまず試したが、その点を阻害できないことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
スクリーニングの撮影に使用している顕微鏡の不具合がたびたび発生したために、遅れがでた。
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Strategy for Future Research Activity |
RNAサイレンシングの指標の一つとして、siRNAの蓄積量が挙げられる。スクリーニングにより同定した候補化合物の処理により、siRNAの蓄積に影響がでるかを調査する。候補化合物のうち約8割が、植物の生長を遅らせてしまう。RNAサイレンシング経路と発生に関与するmiRNA経路は密接に関係している。いくつかの化合物はmiRNA経路を阻害しているかもしれない。したがって、生育遅延を起こす化合物について、miRNAの蓄積も調べるつもりである。また、BY-2ライセートを用いた実験系を駆使して、候補化合物がAGOの活性を阻害するかを調べていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
機器の故障が発生したため研究に遅れが生じ、学会や誌上での発表ができなかった。 スクリーニングにより同定した候補化合物やラジオアイソトープによるsiRNAやmiRNAの検出のための機器類、試薬類の購入費用とする。さらに、学会において成果を発表するための旅費や誌上発表の費用とする。
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