2013 Fiscal Year Research-status Report
真核細胞における遺伝子発現ノイズの抑制メカニズムの解明
Project/Area Number |
25871121
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小川 泰 独立行政法人理化学研究所, 今本細胞核機能研究室, 研究員 (70624956)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | mRNA / 1分子感度 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
本研究は主に以下の3つの項目を中心に進めている。 (1)3次元1分子感度顕微鏡の開発 研究実施計画の通り、顕微鏡開発の専門家である谷口氏と協力し、生細胞内の蛍光蛋白質を一分子感度で観察できる高感度蛍光顕微鏡開発を行った。これを用いることにより、1細胞内における蛍光タンパク質の総数をカウントすることが原理上可能となる。まだ安定性とそれぞれの試料への最適化等に改善の余地があるが概ね開発は完了している。 (2)出芽酵母を用いた微量タンパク質発現の検出系と細胞種の構築 当初の研究実施計画の通り、出芽酵母における一分子感度のタンパク質発現とmRNAの観察を目的に細胞を構築した。しかし、当初の予想を上回る出芽酵母特有の自家蛍光によって、発現した全ての蛍光蛋白質を検出することが難しいという問題が生じた。 (3)ヒト培養細胞を用いた一分子タンパク質発現の検出系と細胞種の構築 出芽酵母と比較して自家蛍光物質が少ないヒト培養細胞を用いることに方針転換した。まず、自家蛍光が少ない細胞内領域を決定し、その部分に局在化する1分子レベルで検出できる蛍光蛋白質レポーター遺伝子を開発した。さらに1分子感度の有無の検討用細胞種として、非誘導時のバックグラウンドが非常に低く薬剤依存的に誘導できる遺伝子発現カセットを組み込んだ細胞種を構築した。現在、このレポーター遺伝子の下流にmRNAを検出するための配列を加え、mRNAとタンパク質の1分子感度同時観察を目標に進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(理由)当初は、出芽酵母を用いて行う予定だったが、技術的な問題からヒト細胞を用いる必要がでたため、再度遺伝子発現カセットや検証用細胞の構築が必要になった。技術的に出芽酵母よりも安定株取得に時間がかかるため、多少の遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
出芽酵母の強みであるライブラリーを用いることができないため、ヒト培養細胞を用いた実験では網羅的な検証は非常に難しい。一方で、次世代シーケンサーにより、それぞれの遺伝子の発現プロファイルが分かってきているので、代表的な遺伝子数種類に絞って検証を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画では、出芽酵母の培養、変異体作成を行う予定だったが、研究の主体ををヒト培養細胞に移行したため、ヒト培養細胞の継代や、DNAコンストラクトをさらに作成する必要が生じたため。また、開発した顕微鏡に最適化した観察用シャーレのコーティングを検討するため。 多数の細胞株を作成し維持していく上で、培地、ディッシュ、プラスチック機器、トランスフェクション試薬等の購入が必要です。さらに、多種類のプラスミドコンストラクトの作成のための、PCR 用試薬、制限酵素、シークエンス反応試薬、アガロース、大腸菌コンピテントセル、オリゴ等の購入が必要です。また、観察用シャーレのコーティングを検討するために数種類のコーティング試薬の購入が必要です。
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