2016 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体ストレス特異的な小胞体膜動態を介した細胞分化制御
Project/Area Number |
25871124
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
中西 慶子 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (30415252)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 細胞分化 / 小胞体ストレス / 筋発生 / 小胞体膜動態 / カルシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
筋前駆細胞である筋芽細胞が筋蛋白質を発現する筋管細胞に分化する筋最終分化過程(以降筋分化と呼ぶ)において、一過的に小胞体ストレス応答が生じ、これが筋分化過程において重要な役割を果たしていることを私たちは以前報告した。この分化過程に組込まれた生理的小胞体ストレスの発生源が小胞体内カルシウム枯渇であることを強く示唆する結果を得たため、本研究課題では小胞体内カルシウム枯渇をイメージングによって可視化し直接的に証明した。イメージング解析から得られた小胞体内カルシウム枯渇タイムポイントにおけるマイクロアレイ発現解析より、筋分化誘導特異的にコレステロール合成経路の遺伝子群の著しい上昇が見られた。筋分化に伴うコレステロールの上昇が小胞体内カルシウム枯渇を引き起こす可能性を考え、コレステロール合成経路の阻害実験を行った。筋分化誘導時におけるコレステロール合成阻害は小胞体内カルシウム枯渇を抑制したが、コレステロール合成阻害は分化細胞だけでなく、増殖細胞においても小胞体ストレス応答を引き起こした。コレステロールの増加が小胞体ストレスを誘導することは以前から報告されていたが、コレステロールの減少も同じく小胞体ストレスを誘導し、コレステロール増減のバランス自体が小胞体ストレス誘導に関わることが明らかになった。また、筋分化に伴う脂肪酸不飽和化酵素の発現上昇もマイクロアレイ解析より明らかになった。脂肪酸不飽和化酵素の阻害は筋分化に伴う小胞体内カルシウム枯渇は抑制しなかったが、薬剤による小胞体内カルシウム枯渇によるアポトーシス誘導を抑制した。本研究から、小胞体膜脂質動態が小胞体内カルシウム枯渇や小胞体ストレス誘導に関わる可能性が大いに考えられる予備的結果を得た。
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Research Products
(1 results)