2014 Fiscal Year Research-status Report
マウス視覚野におけるトップダウン注意信号入力のイメージング
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25871135
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
吉田 崇将 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 研究員 (50525904)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | トップダウン型注意 / 頭部固定型視覚的注意課題 / マウス視覚野 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度はマウス用頭部固定型視覚的注意課題システムの開発およびその評価を行った.新たに提案した頭部固定化の覚醒マウスに視覚的注意を誘導するタスクパラダイムを実現するためのタスク装置と運用システムをデザインし構築した.実験システムには次に挙げる大きく分けて4つの機構を要する:(1)覚醒マウスの脳を定位固定するための機構,(2)マウスの判断を給水ポートの舐め分けとして検知するための機構,(3)視覚や聴覚の刺激を提示するための機構,および(4)それらを制御するためのシステムである.実験システムにおける各ブロックの機械設計および回路設計を行い,装置および回路基板を試作した. 具体的には,脳定位固定のための機構および給水ポート舐め分けのための機構の機械設計を行い試作した.実験システムを制御する電子回路は以下に示す多段のブロックに分けられる:視覚刺激の出力を制御するブロック,音刺激を生成するブロック,舐め行動を検知するセンサーを制御するブロック,報酬となる水の吐出を制御するブロック,心拍および呼吸を測定するブロック,および全てのブロックを統御するブロック.これら全てのブロックの回路を設計し試作した.さらに,実験中の環境音を遮断するための遮音箱を設計し試作した. 実験システムを構成するほとんどの装置と制御回路及び制御プログラムを自前で設計・作製することにより,市販品を組み合わせた時に比べてコストを約20分の1程度に抑えられ,大規模チャンネル化を安価に実現できるようにした. 最後に,実際に覚醒マウスを固定しシステムが設計通り機能するかを評価したところ,概ね想定通りに機能することが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の研究実施計画では,平成26年度までに視覚的注意課題の評価と最適化を行い,その課題を用いて生理学的実験を行う予定であったが遂行までに至らなかった.理由は,システムの構築に想定以上の時間を要したことによる.多チャンネル化を低コストで実現するためにシステムのほとんどの部分を自作したが,それらを安定動作させるまでに時間がかかってしまった.ただ,システムはほぼ完成したので多チャンネル化は迅速に実現できる.タスクパラダイムの評価を多チャンネルで行うことにより,ある程度遅れを取り戻すことが期待される.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究実施計画を完遂する見込みが立たないので今年度実施する研究計画を以下の通り修正する. まず,構築したタスクシステムを用いてタスクパラダイムのパラメータの最適化を行う.具体的には,単純な視覚弁別課題を課して左右どちらかの舐め口を舐めさせるところから始めて,左右の舐め分けを学習させる.その際の視覚提示時間や遅延時間,試行間隔などのパラメータの最適化を図る.視覚刺激のパターンもマウスが反応しやすいものに最適化する. 次に,カルシウム感受性タンパク質発現アデノ随伴ウィルスベクターを前頭前皮質に注入して感染させ,視覚野におけるトップダウン信号投射の有無を確認する.投射が確認できたら,視覚野浅層の軸策終末におけるカルシウム応答の2光子励起イメージングを行い,タスクのパフォーマンスとカルシウム応答の変化の相関を調べる.
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