2013 Fiscal Year Research-status Report
未利用なバイオマス資源を原料とした芳香族ポリエステルの微生物生産
Project/Area Number |
25871137
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
富澤 哲 独立行政法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 特別研究員 (90634709)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ポリヒドロキシブタン酸 / 芳香族カルボン酸 / R. eutropha H16 |
Research Abstract |
環境調和型プラスチックであるバイオポリエステルの高強度化や耐熱性の向上を目的とし、主鎖に芳香環を有するモノマーが含まれた芳香族ポリエステルの微生物生産を試みている。微生物が生産する脂肪族ポリエステルであるポリヒドロキシアルカン酸(PHA)のモノマー成分は微生物に与える炭素源によりコントロールできる。今年度は、未利用なバイオマス資源であるリグニンの構成成分であるp-クマル酸、フェルラ酸、カフェ酸、シナピン酸およびリグニンの構成成分の代謝経路に含まれると推測した芳香族カルボン酸(ヒドロキシ安息香酸、バニリン酸)を単一炭素源として、PHAを蓄積する微生物を培養した。最も有名なPHA蓄積微生物であるRalstonia eutropha H16株は、4-ヒドロキシ安息香酸、ゲンチジン酸、プロトカテク酸を炭素源として、一般的な微生物産ポリエステルであるポリヒドロキシブタン酸(P[3HB])を蓄積した。微生物細胞内でリグニンの構成成分を4-ヒドロキシ安息香酸、プロトカテク酸に変換する代謝経路を強化あるいは補強すれば、リグニンの構成成分をP(3HB)に変換可能であることが示唆された。また、芳香族化合物を炭素源としても脂肪族-芳香族ポリエステルが得られないことが明らかとなった。この原因は、(1)PHAの合成反応を触媒するPHA重合酵素が芳香族モノマーを認識していない、(2)PHA重合酵素に芳香族モノマーが供給されていない、の二点が考えられた。そこで、化学合成した芳香族モノマーと無細胞合成により準備したR. eutropha H16株由来のPHA重合酵素を混合する活性試験を行った。しかしながら、PHA重合酵素は芳香族モノマーに活性を示さなかった。芳香族ポリエステルが得られない原因はPHA重合酵素の基質特異性であり、PHA重合酵素の改変が芳香族ポリエステル生産の鍵になると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度では(1)芳香族化合物を炭素源とした芳香族ポリエステルの微生物生産、(2)芳香族モノマーの化学合成と活性試験、を行う予定であった。(1)では、芳香族化合物を炭素源として微生物に与えることは成功したが、芳香族ポリエステルは得られなかった。(2)では、1種類の芳香族モノマーの合成に成功したが、芳香族モノマーに活性を示す重合酵素は得られていない。当初より平成26年度も芳香族モノマーを用いた活性試験を行う予定であったため、(3)のやや遅れているに該当すると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の鍵である芳香族モノマーに活性を示すPHA重合酵素の取得を(1)化学合成した芳香族モノマーを用いた生体外重合、(2)芳香族モノマー供給遺伝子を用いた生体内重合、により試みる。(1)では、現在使用しているメチルメトキシ基に変わる保護基の検討を行う。また、R. eutropha以外のPHA重合酵素や基質特異性を改変したPHA重合酵素についても活性試験を行う。(2)では、大腸菌に4-ヒドロキシ安息香酸とコエンザイムAの結合を触媒する酵素(芳香族モノマー供給遺伝子)および改変したPHA重合酵素を共発現することで、芳香族モノマーに活性を示すPHA重合酵素の取得を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究に遅れが生じたため、消耗品額の半分以上を占める無細胞タンパク質合成試薬の使用量が少なかった。また、予定していた海外学会に参加できなかったため、次年度使用額が生じた。 現在の所属である熊本高等専門学校は理化学研究所と比較して設備が少ないため、平成25年度の残額は研究室を立ち上げるスタートアップ資金として利用する。具体的にはピペット、大腸菌、ベクター、インキュベーター、エバポレータ、分析用カラム、試薬等を購入する予定である。
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Research Products
(4 results)