2014 Fiscal Year Annual Research Report
局所的な筋疲労後に疲労していない他肢の努力感は軽減するか
Project/Area Number |
25871146
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
松浦 亮太 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 准教授 (10551278)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 筋疲労 / 努力感 / 運動誘発電位 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,局所的な筋疲労後に疲労していない他肢の一次運動野興奮性が変化することに注目し,その変化が筋力発揮時の努力感軽減に関連付けられるか否かを検討した。 初年度は,筋疲労後に見られる疲労していない他肢の一次運動野興奮性の変化が,どのような神経生理学的機序によってもたらされるのかについて部分的に解明することを目的とし,右ハンドグリップによる筋疲労収縮中および筋疲労後において,左右の外側広筋から経頭蓋磁気刺激(TMS)を用いて運動誘発電位(MEP)を測定した。ハンドグリップの強度は10%MVCおよび50%MVCの2条件とした。ハンドグリップによる筋疲労収縮中のMEPは左右の外側広筋で増大したが,左右間に差は見られず,ハンドグリップの強度が高い条件でMEPはより増大した。しかしながら,筋疲労後のMEPは左右の外側広筋で差が見られ,その差はハンドグリップの強度に依存していなかった。これは,筋疲労後に起こる他肢の一次運動野興奮性の変化が筋疲労中の一次運動野興奮性の増大と関連がないことを示唆している。 最終年度は,筋疲労後における疲労していない他肢の一次運動野興奮性の変化と努力感の関係を解明するため,右ハンドグリップによる筋疲労後において,左右の足関節背屈中の一次運動野興奮性の変化をMEPで測定し,背屈による最大筋力ならびに一定努力感で発揮される筋力の大きさとの関連性を検討した。筋疲労後における背屈中のMEPに左右差は見られず,背屈時の最大筋力は左右ともに変化を示さなかった。しかしながら,疲労した腕と同側の右背屈時におけるMEP変化と一定努力感による筋力発揮には相関が見られ,局所的な筋疲労は同側の他肢が筋力発揮する際の努力感に影響を及ぼす可能性が示された。 以上から,上肢の筋疲労前後では,同じ努力感であっても一次運動野興奮性の変化により下肢の筋力発揮が異なることが明らかとなった。
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