2013 Fiscal Year Research-status Report
変異がん原遺伝子ドライバー核酸配列を標的とした治療薬の開発
Project/Area Number |
25871150
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Chiba Cancer Center (Research Institute) |
Principal Investigator |
渡部 隆義 千葉県がんセンター(研究所), がん遺伝創薬研究室, 研究員 (60526060)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | PIポリアミド / CBI / βアラニン / γアミノ酪酸 |
Research Abstract |
本研究は現在でも最も治療の困難な膵臓がんに多く、また化学療法抵抗性の転移を有する大腸癌患者にもみられるKRAS 遺伝子のコドン12 の変異に対する変異がん原遺伝子ドライバー核酸配列を標的とした治療薬の開発という課題を元に、配列認識特異性の高いpyrrole-imidazole polyamide(PIP)の構造的な探究、遺伝子配列特異的なアルキル化候補薬剤の有効性の確認、そして動物実験を通じたその薬剤としての開発の可能性を追求することを目的としている。この指針に基き、本年度は環状型PIP(cPIP)の合成とポリアミド-CBIの縮合法について取り組んだ。 cPIPの合成に於いて、5塩基認識を超えるDNAを認識させるためには柔軟なβアラニンを導入する必要があるが、このβアラニンが柔軟な構造であるため、環化反応の際に大量の副産物が生成してしまい合成出来ないことが判明した。そこで1反応ごとの反応効率を高める為に合成機の反応条件を検討した結果、合成機を密封し、湿度を20%以下まで抑え温度を30℃以上にすることで高い反応効率を得ることに成功した。またターン部位のγアミノ酪酸とイミダゾールという配列において反応効率が大きく低下することが明らかとなり、ダブルカップリングにより収率を高めることに成功した。 またCBI-PIPの縮合反応を行うために必要なカルボキシル基の生成条件が困難であり、様々ナ条件検討を行った結果、1N水酸化リチウム:NMP=1:1の混合溶媒で1時間処理することでPIP-COOHを生成することに成功し、ここにCBIを縮合することでPIP-COOHの合成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
長鎖cPIPの合成は短鎖cPIPと異なり、βアラニンの導入による大幅な反応効率の低下が観測された為、出来るだけ副生成物が出ないような高効率の合成法を開発する必要性が明らかとなった。その為、この反応条件を模索することに大きな時間が掛かってしまっている。現在、この反応条件がほぼ改善されたため、様々な配列のPIPの合成が可能になり、cPIPの合成実験に取り掛かっている。また、カルボキシル基を有するPIP-COOHの合成法を確立し、アルキル化剤であるCBIやその他の機能性分子の縮合反応が可能になったため、様々な配列のドライバーオンコジーンを標的とする強力な配列選択的なアルキル化能有するPIPの合成が可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
PIPの合成環境の改善に時間が掛かってしまったが、今後は最適化された合成条件を元に.①cPIP-CBIやKR12以外のドライバーオンコジーンを標的とするCBI-PIPの合成。②合成したPIPのDNA結合能の測定、③HPLCやLC-MSを用いた配列選択的なアルキル化の確認を早急に行い、同時にヒト癌細胞株に対する抗癌活性を評価する。この結果を元にヌードマウスにヒト癌細胞株を移植したゼノグラフトモデル実験を行い前臨床試験を進めて行く予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
化合物の合成に大幅に時間が掛かってしまい、予定していた細胞やマウス、実験試薬、機器等の購入が遅れているために差額が生じている。 25年度で行えなかった実験に必要な細胞、マウス、実験試薬、機器類の購入を予定している。また、PIPの合成条件の検討で消費した原材料の購入も予定している。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] A novel gene regulator, pyrrole-imidazole polyamide targeting ABCA1 gene increases cholesterol efflux from macrophages and plasma HDL concentration.2014
Author(s)
Tsunemi A, Ueno T, Fukuda N, Watanabe T, Tahira K, Haketa A, Hatanaka Y, Tanaka S, Matsumoto T, Matsumoto Y, Nagase H, Soma M.
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Journal Title
J Mol Med
Volume: 92
Pages: 509-521
Peer Reviewed
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[Presentation] 変異型KRASを標的とした塩基配列特異的アルキル化剤によるマウス移植ヒト大腸癌の増殖抑制2013
Author(s)
井上貴博, 平岡桐子, 養田裕行, 杉本博一, 篠原憲一, 渡部隆義, 越川信子, 尾崎俊文, 永瀬浩喜, 坂東俊和, 杉山弘
Organizer
第36回日本分子生物学会年会
Place of Presentation
神戸
Year and Date
20131203-20131206
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[Presentation] 変異型KRASを標的とした塩基配列特異的アルキル化剤による腫瘍細胞の増殖抑制2013
Author(s)
平岡桐子, 井上貴博, 養田裕行, 杉本博一, 篠原憲一, 渡部隆義, 越川信子, 尾崎俊文, 永瀬浩喜, 板東俊和, 杉山弘
Organizer
第36回日本分子生物学会年会
Place of Presentation
神戸
Year and Date
20131203-20131206
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