2013 Fiscal Year Research-status Report
イオンモビリティー質量分析装置を用いた生薬成分分析と品質評価法の確立
Project/Area Number |
25871154
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
渥美 さやか 国立医薬品食品衛生研究所, 生薬部, 研究助手 (50647097)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 構造異性体 / 質量分析 / 生薬 / 薬用植物 / 配糖体 |
Research Abstract |
本研究では、生薬中の異性体成分、特に配糖体の位置異性体に着目し、Liquid Chromatography Ion Mobility Spectrometry Mass Spectrometry (LC-IMS-MS) 分析の有用性を検討するとともに、LC-IMS-MS分析装置を用いた新たな生薬の品質評価法の確立を目指す。本年度は、ダイオウ、カンゾウ、サイコの3種の生薬について、以下の通りイオンモビリティー分離の有用性を検討した。1) 大黄に含まれるアントラキノン配糖体について、emodin 8-O-glucoside, 1-O-glucoside, 6-O-glucoside, aloe-emodin ω-O-glucoside の4つの構造異性体を入手し、イオンモビリティー分離によるドリフトタイムの再現性と、分子シミュレーションにより算出した衝突断面積の精度を確認した。その結果、同一分析条件下でのドリフトタイムの再現性は極めて高いことが明らかになり、衝突断面積の実測値に近い分子シミュレーション法を確定することができた。これらの結果を第55回天然有機化合物討論会にて発表した。2) 甘草に含まれるglycyrrhizic acidと、そのエピマーである化合物Xが、イオンモビリティーにより分離可能であるかを検討した。その結果、両者の構造的差異は僅かであり、分離には更なる検討が必要であることがわかった。3) 柴胡に含まれるsaikosaponin aとsaikosaponin dが、イオンモビリティーにより分離可能であるかを検討した。その結果、両者の分離には更なる検討が必要であることがわかった。以上のことから、イオンモビリティーによって分離可能な化合物のサイズや構造について、有用な知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スクリーニング分析の対象として想定した6種の生薬のうち、3種の分析を終えることができた。トリテルペンサポニンの分析と分離条件の検討では遅れが生じているが、アントラキノン類についてはLC-IMS-MSを用いた構造推定法の精度を測る段階まで来ており、総合的に見て、進捗状況は順調であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、生薬と化合物のスクリーニング分析を進め、イオンモビリティーによる分離と構造推定に適した生薬、化合物についての知見を得る。さらに、良好な分離が得られた化合物については、生薬の品質評価への応用を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初、第61回質量分析総合討論会への参加を予定していたが、天然有機化合物討論会との日程が近かったこと、ダイオウ以外の生薬を対象としたLC-IMS-MS分析が遅れていたことなどから、学会参加を取りやめたため。 試薬、実験器具等の研究遂行に必要な消耗品の購入費の他、学会参加費、旅費、論文投稿料などの成果発表のための費用に使用する。
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Research Products
(1 results)