2015 Fiscal Year Annual Research Report
医療経済評価における方法論/意思決定上の課題解決に向けた基礎的検討
Project/Area Number |
25871156
|
Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
白岩 健 国立保健医療科学院, その他部局等, 主任研究官 (20583090)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 医療経済評価 / 質調整生存年 / 選好にもとづく尺度 |
Outline of Annual Research Achievements |
まずは、医療経済評価を用いた意思決定において、QALYのほかにもどのような要素を考慮しうるのかを検討するために、医師に対して、コンジョイント法を用いて、医療資源配分における選好を調査した。属性としては、(a) 年齢(若年者/高齢者)、(b) 介入の種類(治療/予防)、(c) 重症度(重度/軽度)、(d) 過去の治療経験 (あり/なし)の4つを考慮した。計610名の医師が一人5つの二項選択形式の質問に対して回答を行った。最も選好の強かった要因は「年齢」(P<0.001)であり、若年者に対して優先的に医療資源配分を行うことを支持ししていた。次いで選好の大きかったものは「介入の種類」(治療)、以後は「過去の治療経験」(なし)、「重症度」(重度)であり、すべての要因が統計学的に有意であった。性別、年齢、所属施設の特性等によって交互作用は検出されなかった。 次いで、日本における選好にもとづく尺度に関する国民標準値の検討を実施した。諸外国ではEQ-5DあるいはSF-6D等の選好にもとづく尺度について国民標準値が報告されていることが多い。本研究では、厚生労働省により実施された調査データを用いて検討を行った。結果は、QOL値は性別・年齢にかかわらず、EQ-5DよりもSF-6Dの方が低い値を示した。いずれの尺度においても60代以上では有意にQOL値が低下し、また女性の方が得られたスコアが低い傾向にあった。世帯所得、あるいは教育歴はQOL値と有意に関連していた。全年齢層で見ると「完全な健康状態」であると回答した人の割合は68% (EQ-5D-3L)、55% (EQ-5D-5L)、4% (SF-6D)であり、SF-6Dは低い割合であった。「うつ病やその他の病気」「脳卒中」「関節リウマチ」が最も気になる傷病であると回答した人はQOL値の低下が大きかった。
|
Research Products
(4 results)