2013 Fiscal Year Research-status Report
細胞移入による誘導型腸炎モデルにおけるIELの機能解析
Project/Area Number |
25871164
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | 独立行政法人国立国際医療研究センター |
Principal Investigator |
小田 浩代 独立行政法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 研究員 (10450595)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 非典型T細胞 / 分化 / 誘導型腸炎 |
Research Abstract |
炎症性腸疾患の背景には、本来異物や異常な自己成分を認識、排除する免疫系の異常が存在すると推定されており、免疫応答の司令塔であるT細胞の分化及び機能の機構解明は急務である。T細胞のうちTCRαβ陽性CD8αα陽性腸管上皮内リンパ球(以下IEL)は胸腺で自己抗原に強く反応して分化し、末梢組織においては誘導型腸炎を抑制することが知られているものの、その分化および作用の機序については未知な点が多い。本研究ではIELの分化および活性化の機構を、遺伝子発現の変化に着目して解明することを目的とする。 研究計画【1】IELによる腸炎抑制の機構解明について、免疫不全マウスへのIEL移植の予備実験および腸炎誘導の予備実験を行った。腸炎誘導実験については、細胞移入の約2ヶ月後に20%の体重減少と腸炎を発症することを確認した。IEL移植については、既報と同様の手法を用いたが腸管への生着率が低かったため、移植前のIEL精製方法の条件検討が必要となった。具体的にはセルソーターを用いたIEL精製時の細胞生存率の改善、in vitroにおけるIELの増幅およびIEL前駆細胞の分化条件の検討を行ない、現在良好な成績を得つつある。 研究計画【2】IELの分化・活性化に重要な分子の探索 典型T細胞分化が著しく阻害される新奇低分子量G蛋白質RhoHノックアウトマウスにおいて、IEL分化は正常におこる。しかしながら、RhoHノックアウトIELをin vitroで刺激してサイトカイン産生を検討したところ、RhoHはIELの分化には必要ないが、活性化IELのサイトカイン産生には必要な分子であるという結果を得た。次にIELの分化に重要な遺伝子の網羅的な発現解析を行うために、IEL前駆細胞およびIELの精製を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画【1】に関して、免疫不全マウスの維持のため、戻し交配によるマウス作製が必要となった。また、IEL移植に関しては、既報の通りIEL移植を行ったが腸管上皮内への生着の確認が困難であり、腸管上皮以外のリンパ系組織(腸間膜リンパ節、鼠径部リンパ節および脾臓)への生着も確認されなかったため、移植後に細胞が死滅したことをまず疑った。移植細胞の生存率を向上する目的で、セルソーターを用いた精製時にウシ血清濃度を上げた他、研究計画のトラブルシューティングに記したとおり、IELをIL-15を用いてin vitroで分化、増殖させる手法の条件検討を行い、良好な結果を得つつある。これと並行して、IEL前駆細胞の移入実験も進行中である。 計画【2】については、おおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画【1】に関しては、IELの腸管上皮内への生着率が低く、過去の文献においても移植直後にIELの上皮内生着を確認したものが存在しないことから、IELが腸炎を抑制する場が腸管上皮内以外の場所である可能性も視野にいれて解析を行う。IELによる腸炎抑制を確認したら、研究計画に沿って、その遺伝子発現の変化を解析する。 計画【2】に関しては、25年度に精製したIEL前駆細胞およびIELを用いて、遺伝子発現解析を行い、重要な遺伝子のリストアップを行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
遺伝子発現解析に遅れが生じたため、25年度は¥442295の未使用分が生じた。 26年度は研究計画に遺伝子発現解析を追加する。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] MicroRNA-17~92 plays a causative role in lymphomagenesis by coordinating multiple oncogenic pathways.2013
Author(s)
Jin HY, Oda H, Lai M, Skalsky RL, Bethel K, Shepherd J, Kang SG, Liu WH, Sabouri-Ghomi M, Cullen BR, Rajewsky K, Xiao C.
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Journal Title
EMBO J
Volume: 32
Pages: 2377-2391
DOI
Peer Reviewed
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