2014 Fiscal Year Research-status Report
細胞移入による誘導型腸炎モデルにおけるIELの機能解析
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25871164
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Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
小田 浩代 独立行政法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 研究員 (10450595)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | T細胞 / IEL / 胸腺特異的遺伝子群 |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症性腸疾患の背景には、本来異物や異常な自己成分を認識、排除する免疫系の異常が存在すると推定されており、免疫応答の司令塔であるT細胞の分化及び機能の機構解明は急務である。T細胞には典型的T細胞(CD8陽性キラー/CD4陽性ヘルパー)に加えて、非典型的T細胞(制御性T細胞、NKT細胞および腸管上皮内リンパ球)が存在し、その免疫制御活性が近年注目されている。腸管上皮内リンパ球のうち、TCRαβCD8ααIEL(以下IEL)は胸腺で自己抗原に強く反応して分化し(アゴニストセレクション)、誘導型腸炎の抑制能を有することが知られているものの、分化・活性化の機序については未知な点が多い。本研究では、IELの分化・活性化機構の解明を目的とし、以下の2つの課題に取り組んだ。 課題1 腸炎抑制の機構解明に関して、26年度は免疫不全マウスにおけるIEL移植の手法確立がほぼ終了した。またin vitroにおいてIELとエフェクター細胞とを共培養した時、エフェクターの増殖抑制能を有するという予備的な実験結果を得た。抑制活性の詳細を解析するために、その細胞学的解析すなわちサイトカイン産生や、細胞表面マーカーの解析を進めている。 課題2 分化・活性化に重要な分子に関して、ISC1はIELの分化に関与しないが、サイトカイン産生に必須であることが明らかになった。また、IEL前駆細胞(TP細胞)の解析に関しては、TP細胞を用いる代わりに本年度他のグループから報告されたDP(lo) PD1(hi)細胞を用いることとし、現在解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題【1】に関して、前年度はIEL精製が技術的に難航したが、今年度は精製法の向上をはかることができた。また、in vitroにおけるエフェクターT細胞とIELとの共培養実験から、IELがエフェクター抑制活性を有するという予備的な実験結果を得ることができた。 課題【2】に関して、ISC1KOIELの解析を行った。また、IEL前駆細胞とIELの遺伝子発現解析については、今年度他のグループにより新たなIEL前駆細胞(DPlo PD1hi)が報告されたため、DPlo細胞を用いた生化学的解析を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
課題【1】に関しては、活性化IELの細胞学的および生化学的表現型の解析を行う。具体的には、細胞表面マーカー、細胞死率、細胞内サイトカイン産生について検討するとともに、発現する遺伝子の違いについて検討を行う。 課題【2】に関して、26年に他の研究グループから、IEL前駆細胞はTriple positive(TP)細胞ではなくDP(lo)-PD1 hi 細胞であることを示唆する発表がなされた。そのため、これまでに計画していたTP細胞の解析ではなく、DP(lo)-PD1細胞に着目し、IELとの差異を比較検討する。
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Causes of Carryover |
第二子出産のため、26年度に産休を取得し研究中断したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に抗体、酵素などの試薬購入に使用し、一部は学会発表等の旅費に使用する予定である。
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[Journal Article] The thymic cortical epithelium determines the TCR repertoire of IL-17-producing γδT cells.2015
Author(s)
Nitta T, Muro R, Shimizu Y, Nitta S, Oda H, Ohte Y,T Goto M, Yanobu R, Narita T, Takayanagi H, Yasuda H, Okamura T, Murata S, Suzuki H.
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Journal Title
EMBO Rep
Volume: 16
Pages: 638-53
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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