2013 Fiscal Year Research-status Report
SLC15A4によるライソゾーム環境管理と炎症制御の相互作用
Project/Area Number |
25871165
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | 独立行政法人国立国際医療研究センター |
Principal Investigator |
小林 俊彦 独立行政法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (40613203)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ライソゾーム環境調節 / 自然免疫応答 / 自己抗体産生 |
Research Abstract |
平成25年度は、①抗SLC15A4抗体の樹立、②生化学的解析、③細胞生物学的解析の3つのテーマについて研究を進めた。①抗SLC15A4モノクローナル抗体の樹立については、SLC15A4を細胞表面に強制的に発現させる方法とSLC15A4欠損マウスを利用する方法を組み合わせることで、より確実性の高いモノクローナル抗体の樹立を目指した。現在免疫方法と免疫原の最良の組み合わせについて検討中である。 ②生化学的解析:TLR7/9リガンドであるRNA/DNA応答性の変化を、SLC15A4がライソゾームの環境に与える影響から検討した。野生型とSLC15A4 KO由来の樹状細胞あるいはB細胞を利用し、細胞のライソゾーム画分を分離した後、その中に含まれる成分をHPLCあるいは質量分析によって解析した。その結果、SLC15A4 KO細胞においては、細胞全体のヒスチジン含有量は野生型とほぼ同等であるのに対し、ライソゾームにおいてはヒスチジンが集積していることが判明した。さらに、ヒスチジンの集積がTLR7/9 応答の低下原因であることを明らかにした。 ③細胞生物学的解析: ③は、SLC15A4にエピトープタグを付加することで細胞株での強制発現、あるいはレトロウイルスを利用した樹状細胞への発現系を用いて行った。SLC15A4がTLR7およびTLR9の発現、細胞内局在および輸送系に与える影響を解析した。エピトープタグを付加したSLC15A4を細胞に強制発現させ、蛍光タンパク質融合TLR7,9を用いて共焦点レーザー顕微鏡で観察した。また、B細胞を用い、SLC15A4がライソゾーム自体の形態・微細構造に与える効果について、電子顕微鏡を用いて観察した。 以上得られた知見をまとめ、論文を免疫学雑誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SLC15A4欠損細胞を用いた生化学的、細胞生物学的解析に加えて生体におけるSLC15A4の役割の解析が進み、論文化について計画通りに達成されつつある。 モノクローナル抗体の樹立については今後免疫原、免疫方法の改良等を行い、抗体の樹立をめざす。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に沿って、抗SLC15A4モノクローナル抗体の樹立を行い、その性状解析を行うとともに、抗体の炎症応答に対する効果をin vitro, in vivoの両面から解析する。特に炎症性自己免疫疾患モデルマウスを用いた抗体の炎症抑制効果について検討をすすめる。 ①in vitroにおける抗SLC15A4抗体の動態と機能の検討:SLC15A4を高く発現している樹状細胞を用いて,TLR応答における抗体の作用を検討する。抗SLC15A4抗体の作用がTLRリガンド応答に抗炎症効果なのか、TLR刺激によって樹状細胞から産生される炎症性サイトカインのTNF-α, IL-6あるいは1型インターフェロンのIFN-βを指標に検討する。また、蛍光標識した抗体の細胞内デリバリーについて、局在解析を共焦点レーザー顕微鏡、結合量の解析をFlow cytometryで評価する。 ②in vivoにおける抗体の効果についての解析: ①の結果をふまえた上で、新規抗体療法確立へのアプローチとして、マウスモデルを用いて抗体投与による炎症性自己免疫疾患の改善効果について検討する。
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