2015 Fiscal Year Annual Research Report
在日外国人の母親の子どもに対する健康観に関する研究
Project/Area Number |
25871167
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
須藤 恭子 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (80458976)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 母親 / 健康観 / 健康行動 / 外国人 / Mixec Method |
Outline of Annual Research Achievements |
日本に在住する外国人の母親の多くは、日本とは異なる文化や環境に育ち、日本語によるコミュニケーション能力が十分ではないため、その子どもたちはヘルスケアへのアクセスが困難なvulnerableな集団である。本研究は、日本に在住する外国人の母親の子どもに対する健康行動とそれに関連する要因を明らかにすることを目的とした。 インタビュー調査およびその結果に基づくアンケート調査を実施した。対象者は、日本の小学校就学前の子どもと日本に暮らす外国人の母親とした。 インタビュー調査にはフォーカスグループインタビュー(FGI)を用いた。母親は、子どもの健康を知覚しながら健康に関する情報の獲得や予防を行っており、必要に応じて受診の決定や医療機関の選択、家庭で病気に対応していた。また、子どもの状態、母国の文化習慣、日本の文化習慣、家族、母親の健康観、日本のヘルスシステム、仲間、母親自身の健康、医療機関・医療者、インターネットの利用、日本での生活への慣れ、日本語の理解が母親の健康行動に関連する要因として抽出された。 アンケート調査は、FGIの結果から独自に作成し母親の健康観の測定にはCVS(Child Vulnerability Scale)を用いた。238部を回収し(回収率55.6%)分析した。母親の健康健康行動のうち、「子どもの健康に関する情報の獲得」の得点が低いことが明らかとなり、外国人の母親のニーズの高さが示唆された。また、「子育てサークルの利用」「母国と日本のヘルスケアシステムの違いの認識」「日本での生活の慣れ」が、母親の子どもに対する健康行動に有意に関連しいたが、「母親の日本語能力」の関連は認めなかった。このことから、外国人に対する日本語学習支援は不可欠であるが、加えてソーシャルキャピタルを醸成することでよりよい健康行動に繋がることが示唆された。
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