2013 Fiscal Year Research-status Report
日本とスリランカにおける血清脂肪酸組成と動脈硬化に関する臨床疫学研究
Project/Area Number |
25871168
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | 独立行政法人国立国際医療研究センター |
Principal Investigator |
黒谷 佳代 独立行政法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (50610739)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | スリランカ / 動脈硬化 / 脂肪酸組成 / 国際比較 |
Research Abstract |
国立国際医療研究センター病院において、糖尿病・高血圧・脂質異常症患者を対象に調査を実施し、270名の協力を得た(目標の9割)。動脈硬化性血管障害は、フクダ電子Vasera-1000を用いて心臓足首血管指数(CAVI)、足関節上腕血圧比(ABI)および足趾・上腕血圧比(TBI)検査で評価し、血清リン脂質およびコレステロールエステル中の脂肪酸との関連を検討した。保存血清から、パイロット調査として、61名分の脂肪酸組成を同定したところ、CAVI値が高く、動脈硬化が進展しているほど、血清リン脂質ホスファチジルコリン中のオレイン酸濃度が高いことがわかった。 また、日本と同じくアジアに属する島国で、日本に比べて特に肥満者および冠動脈疾患死が多く、油の摂取に大きな違いがあるスリランカにおいて、同じプロトコールを用いた臨床研究を実施するため、研究の立ち上げのためにスリランカを2回訪問し、現地カウンターパートと打合せを行なった。日本においては、当該プロトコールを倫理審査委員会に諮り、スリランカでの倫理審査委員会の承認が得られれば研究がスタートできる段階となった。しかし、スリランカの倫理審査委員会において、検体のスリランカから日本への持出について承認を得ることが難しいため、一度申請を取り下げ、プロトコールを変更し、新たなカウンターパートを加えて平成26年度に再度倫理審査委員会に諮ることとなった。 なお、スリランカでの動脈硬化性血管障害は、日本での調査と同様に、フクダ電子Vasera-1000を用いて心臓足首血管指数(CAVI)および足関節上腕血圧比(ABI)検査で評価することとし、機器の搬入についての準備は完了した。また、機器の使用について、現地協力スタッフへのレクチャーのため、申請者がフクダ電子において測定方法のトレーニングを受けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本における動脈硬化と血清脂肪酸組成との横断研究については、ほぼ計画通りであった。目標の9割である270名からの調査協力を得て、パイロット調査として、61名分の血清脂肪酸組成の分析が終了し、動脈硬化指標CAVIと脂肪酸組成との関連を解析することができた。CAVI値が高く、動脈硬化が進展しているほど、血清リン脂質ホスファチジルコリン中のオレイン酸濃度が高いことがわかった。 スリランカにおける動脈硬化と血清脂肪酸組成との横断研究については、平成25年度は日本とスリランカで調査準備をおこない、下旬には調査を開始する計画であったが、まだスリランカでの倫理審査委員会の承認が得られず調査を開始できていない。しかし、それ以外の準備は概ね整っており、調査も約3カ月間程度で終了できる見込みのため、概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
日本における研究について、保存血清から脂肪酸組成を前年度に引き続きガスクロマトグラフィー法で測定する。収集した測定データおよび調査票データをクリーニング後整理し、解析用データベースを作成すし、本目的である動脈硬化度と血清脂肪酸組成との関連について分析を行い、研究成果を論文や学会にて報告する。 スリランカにおける研究については、スリランカでの倫理審査委員会の承認を得て、100名を対象に国立病院にて調査を実施する。検体は、コロンボ大学遺伝学教室にて分注後、-80℃で一時保管し、国立国際医療研究センターに送り-80℃で保管する。日本での研究と同様の方法で脂肪酸を測定する。分析は九州大学栄養化学教室で行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度のスリランカでの調査開始を見込んでいたため、調査スタッフへの謝金とスリランカへの渡航費を計上していたが、調査開始が次年度に繰り越しになったため、次年度使用額が生じた。 主に、スリランカの調査スタッフへの謝金とスリランカへの渡航費に充てる。
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