2014 Fiscal Year Research-status Report
統合失調症におけるワーキングメモリ障害の神経基盤解明とリハビリテーション法の開発
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25871170
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
竹田 和良 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 病院, 医員 (00631342)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 統合失調症 / ワーキングメモリ / 認知リハビリテーション / 認知機能障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
統合失調症における認知機能障害は、機能的転帰と強く相関しており、その評価と治療法の確立が急務である。本研究では、ワーキングメモリ障害に焦点を当て、ワーキングメモリ障害のリハビリテーション法を開発することを目的とした。 今年度は、以下の3点を中心に実施した。(1)昨年度に選定したリハビリテーションソフトの使用方法についてリハビリテーション実施者用のマニュアルを作成した。加えて、各ソフトの患者記録用・評価用資料の作成を行った。(2)リハビリテーションの評価として実施する神経認知評価尺度、社会認知評価尺度、社会機能評価尺度を選定し、各心理検査の実施のためのトレーニングを心理士に行った。(3)リハビリテーションの内容を、その有効性が示されているNEARの方略に準じて構成した。具体的には、週に2回、 約45分間/回のコンピュータセッションと週に1回、約45分の言語セッションで構成した。コンピュータセッションでは、患者は選定した複数のリハビリテーション用ソフトに取り組み、言語セッションでは、作成したマニュアルを用いて、リハビリテーション課題と日常生活行動を結びつけ、動機づけを高める集団ミーティングを実施した。これらを3か月間実施、リハビリテーション前後での心理検査の結果を比較・検討した。統合失調症患者6名において、認知機能評価尺度であるBACS(Brief Assessment of Cognition in Schizophrenia) のcomposite scoreは平均0.707(z-score)改善しており、実施人数は少ないものの有意な改善効果が得られた(p<0.05)。現在、実施人数を増やし、同様に有意な改善効果が得られるか、リハビリテーションを継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
リハビリテーションに参加する統合失調症患者のリクルートに時間を要したため、リハビリテーションの実施人数がわずかである。リハビリテーションが有効である可能性が示唆されており、今後リクルート方法を改善して、目標人数まで到達したい。
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Strategy for Future Research Activity |
当院の精神科専門外来やデイケアと密に連携をとり、参加可能な患者への広報活動に力を入れる。そのために、心理士を一時的に増員するとともに、リクルートパンフレットを改訂し、院内各所に配布する。
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Causes of Carryover |
リハビリテーションの実施人数が目標に達しておらず、そのためリハビリテーションの実施及び心理検査のための人件費と患者への謝金用の研究費が残っている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
目標人数に達するよう、患者のリクルートに力を入れ、リハビリテーションを継続していく。リクルート方針を見直したことにより参加可能な患者が増えており、順調に心理士の人件費と患者への謝金として使用できると考える。
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