2014 Fiscal Year Research-status Report
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25871172
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
山内 貴史 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所自殺予防総合対策センター, 研究員 (10598808)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 自殺 / 自殺未遂 / 自損行為 / 精神疾患 / 身体疾患 / 救急活動記録票 / 都市 |
Outline of Annual Research Achievements |
自殺未遂・自損行為歴は自殺の最も強い危険因子である。本研究では、救急活動記録票データベースを用い、わが国の大都市部における自損行為事例について、性・傷病程度別の特性、とりわけ精神・身体疾患既往歴との関連を明らかにすることを目的とした。 横浜市消防局・健康福祉局から提供を受けた、2009年1月~2011年12月の間に発生した自損行為に関する連結不可能匿名化された救急活動記録票データベースの分析を行った。分析に当たり、国立精神・神経医療研究センター倫理委員会の承認を得た。 3年間に自損行為により救急車が出動した5,193事例のうち、医療機関に救急搬送され、かつ医療機関搬送時点で生存が確認された3,350例を自殺未遂事例と定義して分析対象とした。救急搬送事例の65%は女性、特に20~39歳の女性であった。男女ともに傷病程度の低い自殺未遂が多く、手段としては薬物・過量服薬および切傷が多くみられたが、これらの傾向は特に女性で顕著であった。なお、重篤・重症事例は、男性および60歳以上の者で多く、縊首、飛び降り、焼身などによる自殺未遂が多かった。救急活動記録票を用いた先行研究においてこれまで検討されてこなかった、疾患既往歴と自殺未遂との関連については、身体疾患の既往歴は男性の事例でより多くみられた。一方、女性事例の80%、男性事例の50%に精神疾患の既往歴が確認された。ただし、アルコール・物質使用障害のみは女性よりも男性で多くみられた。 国内外を問わず、自殺未遂に関する先行研究のほとんどは地域の救急医療機関ベースの研究にとどまっていた。それに対し、地域内の自殺未遂者全例を対象とした地域ベース研究である本研究の結果は、バイアスの影響を考慮したうえでのわが国大都市部の自殺未遂者の特性を示唆するものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では、本研究と並行して進めている総務省消防庁が保有する全国の自損行為による救急搬送資料の分析では検討できない、自殺未遂者における精神・身体疾患既往歴の有無や企図手段についての考察が可能であった。これらの要因について分析を行い、研究成果を投稿論文ならびに国際学会での発表というかたちで報告できた。以上の点を考慮し、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書に記載した研究計画に沿って、国内外で極めて研究が少ないメディアにおける自殺関連報道と自殺未遂の発生との関連を定量的・定性的手法により検討する。自殺未遂事例については、本年度研究と同様、大都市部における自損行為による救急搬送事例データベースを分析対象とする。自殺に関するメディア報道については、新聞における報道を分析対象とする。補足的に、本研究と並行して行っている全国の救急搬送事例データベースの分析結果と比較し、大都市部における自殺報道と自殺未遂との関連の特徴を明らかにすることも検討する。
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Causes of Carryover |
平成27年3月にシンポジストとして研究報告を行った国際学会の旅費が、事務処理の都合により翌年度分に計上されるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年3月に開催された国際学会の旅費に充当する。
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Research Products
(16 results)
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[Presentation] Suicide and sleep disturbances2014
Author(s)
Kodaka M, Matsumoto T, Katsumata Y, Akazawa M, Tachimori H, Kawakami N, Eguchi N, Shirakawa N, Yamauchi T, Takeshima T
Organizer
WPA Section on Epidemiology and Public Health 2014 Meeting
Place of Presentation
Nara Prefectural New Public Hall, Nara
Year and Date
2014-10-16 – 2014-10-18