2013 Fiscal Year Research-status Report
神経変性疾患における神経ネットワーク発達の早期病態解析
Project/Area Number |
25871174
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
Principal Investigator |
畑中 悠佑 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第四部, 科研費研究員 (50581899)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 樹状突起スパイン / in vivo 2光子イメージング / 神経変性疾患 / 脊髄小脳失調症 |
Research Abstract |
本研究では,神経変性疾患のpresymptomaticな神経機能障害とその分子メカニズムを解明し,脳疾患における普遍的な早期病態を見いだすことを目的とする.単一遺伝子変異により発症するシンプルな変性疾患モデルを用い,神経ネットワークの発達を複数のイメージング手法(in vivo 2光子顕微鏡を用いたシナプス動態の可視化,および多細胞カルシウムイメージング)により評価し,神経変性疾患におけるシナプス発達障害を見いだす. 我々のこれまでの研究から,脊髄小脳失調症1型(SCA1)ノックインマウスにおいて,大脳皮質シナプスが不安定になっていることが分かっている.我々は当該年度において,さらにこの研究を発展させ,SCA1ノックインマウスのシナプス不安定性は,神経回路発達期においてすでに起こる神経発達障害であることを見いだした.通常,シナプスは動的に生成・消滅を繰り返しているが,神経回路発達期にはこの生成・消滅速度が速く,シナプスが不安定で,成熟とともに安定化する.しかしながら,SCA1ノックインマウスのシナプスは,発達期より異常な不安定性を呈し,その不安定性は成熟後も持続した.このことは,SCA1においてシナプス発達遅滞が生じていることを強く示唆する. SCA1ノックインマウスにおけるシナプス発達障害を多面的に検証するため,本年度ではさらに,発達期のシナプス刈り込みに関与するミクログリアとシナプス後部構造である樹状突起スパインのin vivo同時イメージング法を樹立した.Thy1-YFPマウス,Iba1-GFPマウスで,それぞれ神経細胞とミクログリアを蛍光可視化することで,これを可能とする.また,神経発達障害を神経ネットワークレベルで評価するため,in vivo多細胞カルシウムイメージング法をセットアップ中である.次年度ではこれらを用いて,実際のSCA1マウスにおける神経発達障害を解析する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.シナプスの動態レベルでの発達遅滞を明らかにしたこと. 2.シナプス・ミクログリアのin vivo 2光子イメージング法を樹立したこと. 3.In vivo 2光子カルシウムイメージングが順調に樹立しつつあること. 以上の理由から,達成度を評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
1.In vivo 2光子カルシウムイメージングを完全に樹立すること. 2.シナプス・ミクログリア同時イメージング,多細胞カルシウムイメージングを用いてSCA1における神経回路の発達遅滞の詳細を明らかにすること. 以上を今年度の予定とする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度は,実験系の樹立が主な成果であったため,消耗品等の購入が控えられたことにより,当該助成金が発生した 次年度は,当該年度の成果を元に,より多くの実験を行うことなどにより,これを使用する予定である.
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Research Products
(1 results)