2014 Fiscal Year Research-status Report
骨端はなんのためにあるか? -哺乳類の進化を探る-
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25871180
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
栗原 望 山口大学, 獣医学部, 助教 (40456611)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 骨端 / 骨成長 / 哺乳類 / 進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、哺乳類に特異的に見られる骨端の意義を解明することを目的として、骨端の形成過程、骨端の骨幹への癒合過程と骨成長との関連、複数種の骨端の構造の比較を行う。 平成26年度は、骨端が哺乳類の骨の成長をコントロールするという既存の説を検証するため、骨端のない骨と骨端のある骨の成長過程を明らかにすることを目標とした。成長過程を調べるにあたり、絶対的時間軸が必要となるため、年齢情報のあるカズハゴンドウの骨格標本を用いて、骨端のある椎骨と骨端のない頭骨の成長過程を調べた.従来、骨の成長は骨端の骨幹への癒合により停止すると言われてきたが、椎骨の骨端の癒合状態と長軸方向の成長様式の比較から、骨端が骨幹へ癒合した後も成長が継続することが分かった。一方、骨端のない頭骨でも、成長は然るべきときに停止した。これらの結果から、骨端は骨成長をコントロールするものではないことが示唆された。現在、椎骨の成長様式を論文としてまとめている段階である。頭骨の成長様式については、椎骨の論文の投稿準備が整い次第、論文作成に着手する予定である。 平成27年度の課題を遂行するための準備、すなわちヌートリア胎仔のアリザリンレッドとアリシアンブルーによる透明二重染色標本の作製は、ほとんど進まなかった。従って、平成27年度は、早い時期に透明二重染色標本を作製するか、マイクロCTなどの別の方法を使うことにより、胎仔の骨形成を観察する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度の研究目標は概ね達成できたが、平成26年度中に行うはずであった次年度の研究のための標本作製が遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、哺乳類の胎仔期における骨の形成過程を調べることと「動かす指」と「動かさない指」の骨の構造を比較し、骨端の機能的意味を探ることを目標とする。しかし、胎仔期の骨形成を観察するための透明二重染色標本の準備が進んでいないため、マイクロCT撮影などの代替法を用いて、骨形成の研究を進める。骨端の機能的意義の解明については、予定通りに進める。
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Causes of Carryover |
所属の変更等により、研究の進行に若干の遅れが生じたため、H26年度に購入する予定であった物品(透明二重染色標本製作用試薬類)を購入していないため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定通り試薬類を購入するか、研究計画に変更が生じた場合(方法をCT撮影に切り替えた場合)、機器類の利用費として、あるいは機器類の維持に必要な消耗品の代金として使用する。
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Research Products
(5 results)