Taxonomic study of Eurasian smaller moths with reference to the genetic diversity

2016 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 25871181
• Research Institution: National Museum of Nature and Science, Tokyo
• Principal Investigator: 神保 宇嗣 独立行政法人国立科学博物館, 動物研究部, 研究主幹 (10568281)
• Project Period (FY): 2013-04-01 – 2017-03-31
• Keywords: 分類学 / DNAバーコード

Outline of Annual Research Achievements

本研究は、ユーラシア大陸に広域分布するハマキガ科について、DNAバーコードによるクラスタリングによりその遺伝的多様性を検出し、それを形態比較の結果と組み合わせることで、広域分布種の統合的な分類学的研究とDNAバーコードを利用した同定精度向上を目指すものである。

最終年度にはハイジロハマキ属Pseudeuliaについて追加検討を行った。まず、九州で得られている個体群を検討したところ、外部および交尾器形態は、ハイジロハマキ P. vermicularis に相当した。ロンドン自然史博物館におけるタイプ標本調査により、外部形態よりハイジロハマキの日本個体群を中国産のP. vermicularisと同定した既存の研究結果は否定されなかったが、2016年度には中国産の追加個体を検討し、外部生殖器の形態を精査したところ、日本産種とほぼ一致することが確かめられた。DNAバーコードレベルでの解析は今回は行えなかった。

本研究では16種の解析を行い、半数の8種についてDNAバーコードレベルで大きな変異が確認でき、Barcode Index Numberが複数にわたるものもあったが、形態も含めて種レベルでの差異が見出されたものは無かった。ヨーロッパ産とアジア産との間で亜種レベルで分離されていた種でも、DNAバーコードはほぼ一致しBINが単一になる種も見出された。以上の結果より、ハマキガ科のユーラシア広域分布種においては、顕著な種分化は見出されなかったものの地域ごとに分化している種も存在しており、現状のライブラリでもかなりの精度で同定は可能であること、さらなる同定精度向上には各地域でのDNAバーコードライブラリを構築することが望ましいことが結論づけられた。これらの成果は、今後のDNAバーコードライブラリ構築と活用において有用な情報となると考える。