2016 Fiscal Year Annual Research Report
Avant-garde and Classicism: Research on Functions of Museum and Replication Media in Twentieth Century Italian Art
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25871183
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Research Institution | The National Museum of Western Art, Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 真弓 独立行政法人国立美術館国立西洋美術館, 学芸課, リサーチフェロー (60537330)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 前衛 / 古典主義 / 古典回帰 / 複製技術 / 芸術雑誌 / 広告美術 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、当初の研究計画に基づいて、1910-20年代のイタリアとフランスの画家たちにおける前衛と古典主義の関係の諸相をさらに明らかにするため、研究対象とする画家たちの著述および同時代の文学者による美術批評を主とする稀少な著作・雑誌資料の継続的収集および補てん的収集とを行い、精読と分析を進め、成果内容の執筆を進めた。今年度収集した著作・資料の著者は主に、アンドレ・ロート、アンドレ・ドラン、アメデー・オザンファンとシャルル=エドゥアール・ジャンヌレ(ル・コルビュジエ)、フランシス・ピカビア、ギヨーム・アポリネール等である。 本研究課題および前研究課題「20世紀イタリア芸術前衛と古典回帰とモダニズムに関する研究」において、前衛と古典主義の関係の諸相という問題を継続的な対象としてきたことから、研究範囲を拡張する傾向にあってきた。今年度は、そのことにより得られる複眼性により、各論(ジョルジョ・デ・キリコについて)においても、総論(「前衛的古典主義」と複製図版の活用・「展示」について等)においても、新たな諸発見がもたされる時期となった。そうした成果の一部として、平成28年度は、画家たちによる美術史的記述および複製媒体・複製図版の活用、フランスの文学者による美術批評(ギヨーム・アポリネール、ジャン・コクトー、ロベール・デスノスら)、あるいは広告美術等を含めて資料体とし、それらの同時代性やイメージの力について、より複合的かつより広い歴史的射程をを踏まえた上で執筆することができた。 一方で、国際的な治安状況を考慮し、調査出張を再延期したものの、上記の稀少な書籍・雑誌の購入、および欧州のアーカイヴからの資料取り寄せ、国内図書館を活用することにより、資料収集と調査は計画通り遂行することができた。作品調査については、機会をあらためて実施する予定である。
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Research Products
(2 results)