2014 Fiscal Year Annual Research Report
細胞チップを用いた血中循環がん幹細胞の検出法の開発
Project/Area Number |
25871189
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
阿部 佳織 徳島大学, 大学病院, 特任助教 (60511326)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | マイクロチップ / がん幹細胞 / 単一細胞解析 / マイクロ・ナノデバイス / 癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
がんの再発・転移の原因として化学療法や放射線療法に抵抗性を示すがん幹細胞の存在が注目されている。近年、がん幹細胞は腫瘍組織中だけでなく、血中にも循環していることが報告されている。しかし、血中に存在する割合は非常に少ないため、高感度な検出が必要であり、これまでに簡易に正確に検出できるシステムは報告されていない。そこで、我々は昨年度までに、スライドガラスサイズのプラスチック基板(チップ)に直径100 μmの穴を2万個配置し、1穴に100個の白血球を一層に並べることにより、1枚のチップで200万個の白血球を解析できる細胞チップを開発し、培養細胞を用いたモデル系においてがん幹細胞のマーカーの1つであるCD133を指標として、高感度に、簡易に、正確にがん幹細胞を検出できるシステムの開発に成功している。そこで、今年度は検出できたがん幹細胞を細胞チップの穴から回収し、1細胞レベルでの遺伝子発現解析を行うことにより、がんの個性診断や個別化医療を可能にするシステムを開発を試み、下記の2項目について検討を行った。 1.細胞回収システムの構築:これまでは、一般的に用いられているマイクロマニュピレータを用いて細胞チップの穴に対してガラスキャピラリーを斜めに差し差し込むことにより細胞の回収を行っていたが、より簡易に確実に回収するために細胞チップの穴の真上からアプローチできるシステムへの改良を行った。また、細胞チップの穴から1細胞を回収するために最適なガラスキャピラリーの形状、直径、表面処理剤を見出した。 2.1細胞からの遺伝子発現解析の条件検討:1細胞での遺伝子発現解析には非常に高感度な検出系が求められる。そこで、mRNAの抽出を行わず、直接、細胞を溶解するバッファーを加え、cDNA合成を行った後、cDNA増幅反応を行うことで、1細胞レベルでの遺伝子発現解析が可能になった。
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