2015 Fiscal Year Research-status Report
日本人一流競技選手における筋分布パターンの競技種目特性
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25871202
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
設楽 佳世 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, その他部局等, 研究員 (00632845)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 日本人一流競技者 / 筋分布パターン / 競技種目特性 / MRI法 |
Outline of Annual Research Achievements |
一流競技選手の筋の量やその分布状態を競技種目特性との関連から明らかにしていくことは,競技種目別に目標とする形態・身体組成レベルを知ることや,競技種目に応じたトレーニング方法を明確化することにつながる.しかしながら,筋の分布パターンの競技種目特性について,日本人一流競技選手を対象として詳細且つ定量的に示した研究は皆無に等しい.そこで本研究では,日本人一流競技選手を対象に,磁気共鳴映像法(MRI法)を用いて四肢および体幹下部の筋の連続横断画像を取得し,各部位における筋分布パターンにどのような競技種目特性がみられるか明らかにすることを目的とした. 平成25年度は,コントロール群として運動習慣の少ない20~32歳の一般成人(男性6名,女性4名)を対象に,MRI法を用いた四肢および体幹部の筋の連続横断画像の撮像を実施した.産前産後休暇および育児休業の取得に伴い,平成26年2月25日~平成27年3月31日の補助事業を中断した. 平成27年度は,4月20日より研究を再開した.所属機関の体力測定において,国内トップレベルのスピードスケート(短距離)選手,陸上短距離選手,自転車(トラック)選手,フェンシング選手,バドミントン選手(各5名ずつ,いずれも男性)を対象として,右大腿部の筋の連続横断画像をMRI法により撮像した.大転子から大腿骨遠位端までスライス厚1cmで取得した連続筋横断画像から,大腿四頭筋,ハムストリング,内転筋,大臀筋の筋群別に大腿部の筋の量およびその分布パターンを調べた.現時点で分析が完了しているのは,スピードスケート選手,陸上短距離選手,自転車選手の各1名ずつのデータであるため統計的な処理はできないが,傾向としては,大腿四頭筋(特に外側広筋と内側広筋)の量,ハムストリングの分布パターン,大臀筋の量および分布パターンにおいて,競技種目間差がみられる可能性が示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
交付申請書の研究実施計画に記載した,一般人および男性競技選手を対象とした実験の実施までは行うことができているが,データ分析に遅れが生じ,年度内に本研究課題の結果公表を行うことができなかった.MRI分析に精通した研究者らの意見を参考に試行錯誤したうえで1横断画像から区分できる筋の種類を選定し,分析の再現性を保つために一定期間のトレース練習を重ねたのち,データ分析に着手した.MRI画像の分析作業には1被験者当たり多大な時間を要する(1cm間隔で1画像,1画像につき15~30分程度)ことに加え,以上の工程に時間を要したことが,データ分析に遅れが生じた理由といえる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度および平成27年度に行った一般人・男性競技選手を対象とした実験のデータ分析を進める.競技種目特性が顕著にみられると予想される体幹下部および大腿部における筋の分布パターンについて,優先的に検討する.分析が完了したデータから随時学会発表や論文としてまとめ,四肢および体幹下部の筋分布パターンにどのような競技種目特性がみられるか明らかにする.なお,産前産後休暇および育児休業の取得に伴い,平成26年度の補助事業を中断したため,当該事業を1年間(~平成29年度まで)延長する.
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Causes of Carryover |
所属機関の体力測定においてデータを採取したため謝金が発生しなかったこと,データ分析の遅れにより結果公表までに至らず学会発表に要する旅費を執行しなかったことが,次年度使用額が生じた理由である.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
結果公表に関わる学会旅費,論文投稿費,英文校正費などに使用する予定である.
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