2017 Fiscal Year Research-status Report
日本人一流競技選手における筋分布パターンの競技種目特性
Project/Area Number |
25871202
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
設楽 佳世 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 研究助手 (00632845)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 日本人一流競技選手 / 筋分布パターン / 身体組成 / 競技種目特性 / MRI法 |
Outline of Annual Research Achievements |
一流競技選手の筋の量やその分布状態を競技種目特性との関連から明らかすることは,アスリートとしての目標となる筋形態の競技種目別基準値や,競技種目に相応しいトレーニング方法を,明確化することにつながる.しかしながら,日本人一流競技選手を対象に,あらゆる競技種目における身体組成及び筋分布パターンの特徴を詳細に定量化したデータは,未だ十分に公表されておらず,研究として論文化されたものも数少ないのが現状である.そこで本研究では,一流競技選手の身体組成並びに筋分布パターンの特徴について,競技種目差という観点から検討することを目的とした.今年度は,競技選手の身体組成を横断的・縦断的に正しく評価できる除脂肪量指数(除脂肪量/身長の2乗)及び脂肪量指数(脂肪量/身長の2乗)を用いて,男性一流競技選手の身体組成の競技種目差を検討した.国内トップレベルの28競技種目の男性シニアアスリート414名を対象に,空気置換法により除脂肪量及び脂肪量を測定し,身長の2乗で除すことでそれぞれの指数を算出した.除脂肪量指数は,陸上(投擲),ウエイトリフティング,レスリング(全階級),柔道(全階級)において,全体平均値+1SDよりも高値であった.一方,脂肪量指数は,体操競技,陸上(跳躍,短距離),ボクシング(中量),柔道(軽量),レスリング(軽量,中量)は,全体平均値-0.5SDよりも低値であった.以上の結果より,身長による体格補正を加えたうえで身体組成を定量化した場合,瞬発力及び高い筋力・パワー発揮が競技力に直結する競技種目では除脂肪量が多く,スピード及び持久力に依存する競技種目では脂肪量が少ないことが示された.また,これらの結果は各競技種目に必要な戦術や体力要素に対応している可能性があると考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度より開始した,男性一流競技選手の身体組成の競技種目差に関する研究成果は,原著論文(共著者)として国内雑誌に出版された.しかしながら,MRI法により得られた大腿部の連続横断画像から筋横断面積の分布を定量し,大腿部各筋の分布パターンにみられる競技種目差を検討するための研究に関しては,現時点で未完了である.データ取得は既に完了しているが,本業務多忙につきデータ分析を思うように進めることができなかった.そのため,研究事業を1年延長させ,早急にデータ分析を完了させ成果公表につなげたい.
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Strategy for Future Research Activity |
国内トップレベルのスピードスケート短距離選手,陸上短距離選手,自転車短距離選手各1名ずつ計3名のデータ分析が現時点で完了しているため,残りの一般人及び男性競技選手(スピードスケート短距離,陸上短距離,自転車短距離,フェンシング,バドミントン)のデータ分析を,引き続き進める予定である.競技種目差が顕著にみられると予想される大腿部の筋分布パターンについて優先的に検討し,平成30年度のトレーニング科学学会で発表予定である.また,学会発表の内容を論文にまとめ年度内の投稿を目指す.
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Causes of Carryover |
データ取得を前所属機関の体力測定の一環として実施したため,当初予定していた被験者謝金が不要となった.また,本業務多忙につきデータ分析を予定通り進めることができず,当初計上していた学会発表の旅費や論文投稿のための諸経費を執行することができなかった.以上の理由から,次年度使用額が発生した.
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Research Products
(3 results)