2015 Fiscal Year Research-status Report
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25871205
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
松林 武生 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, その他部局等, 研究員 (20549464)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 低酸素環境 / 運動学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
低酸素環境下での運動学習過程を検討するトレーニング実験に先立ち、常酸素環境下での運動学習過程を明確に捉えることができるかを検討する予備実験を行った。一定ペダリングレート(120 rpm)、一定負荷(1.5 kp)の条件での10分間の自転車エルゴメータのペダリングを週3回、2週間実施し、ペダリング中の下肢筋電図(外側広筋、大腿直筋、大腿二頭筋長頭、腓腹筋内側頭)を記録した。筋電図波形が一定パターンに収束していく過程を学習過程として捉える考えであったが、日間比較した筋電図波形は予測していたほど一定パターンに収束せず、長期的な運動学習過程を捉えるためには筋電図波形に影響を与える他の要因(筋温や、被験者のペダリング姿勢など)をかなり厳密に統制する必要があると考えられた。また、自転車ペダリング動作は誰もが経験のある動作であるため、すべての被験者がその動作にある程度習熟しているということも、学習過程を捉えることを困難にしている要因のひとつとなっている可能性も考えられた。これらの状況を踏まえ、単純にペダリング動作を行う運動課題ではなく、ペダリングの際の力発揮を既定のものにあわせる運動課題(リアルタイムにペダリングトルクを表示し、規定のトルク波形に合わせるよう指示する)を新たに考案し、運動学習過程を明確に捉えられるようすることを考えた。この課題を用いるためにはトルクメータからリアルタイムにデータを取り出し表示する測定システムが必要であり、現在これの構築を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本来計画していた方法では運動学習過程を捉えることが難しいと判断し、運動課題の見直し等を続けたため、低酸素環境下での運動学習過程について検討する本実験の実施が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
単純なペダリング動作を行うだけの運動課題、および筋電図波形のみを基にした運動学習効果の評価では、運動学習の過程を明確に検出することが困難であり、この方法では本実験において常酸素下と低酸素下での学習過程を比較検討することはできないと判断した。学習過程の検出力を高めるために、運動課題にペダリングトルクの制御を追加すること、また筋温等に左右されがちな筋電図のみでなく、ペダリングトルクの制御誤差も指標として用いることとし、運動学習の過程を明確に検出できるよう工夫する。研究計画の遅れを鑑み、短期的な(1回の運動セッションにおける)運動学習の過程に対する低酸素環境の影響について検討することを研究課題の主目的とし、長期的な運動学習効果の検討については事例的に(少数の被験者を対象として)検討する。
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Causes of Carryover |
運動課題の再考、および測定システムの再構築の必要が生じたため、本実験である低酸素環境下での運動学習実験を実施することができなかった。このため、これに必要と考えていた被験者への交通費(旅費)、謝金が未使用となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新たな運動課題を実施するために、ペダリングトルクをリアルタイムで表示するシステムの構築を進めており、これに必要なトルクメータ等の物品購入を行う。また、本実験を実施する際の、被験者への交通費(旅費)、謝金として使用する。
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