2013 Fiscal Year Research-status Report
導電性ダイヤモンドマイクロ電極を用いたオゾン発生ユニットの作製と歯科医療への応用
| Project/Area Number |
25871218
|
|---|
| Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
| Research Institution | Kanagawa Academy of Science and Technology |
|---|
Principal Investigator |
落合 剛 公益財団法人神奈川科学技術アカデミー, 実用化実証事業光触媒グループ, サブリーダー (60514114)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
| Keywords | 導電性ダイヤモンド電極 / 電気化学材料 / 歯内治療学 / 電解機能水生成 |
|---|
| Research Abstract |
本研究は、導電性ダイヤモンド（BDD）マイクロ電極を用いた超小型電解ユニットの創製と、その歯科医療器具への応用を目的とする。BDD マイクロ電極は、創製されてまだ間もない電極材料であるが、物理的・化学的安定性にくわえ、電位窓が非常に広いという魅力的な性質をもっている。本研究は、このBDD マイクロ電極を用いて局所的に高濃度の活性酸素種を生成する超小型電解ユニットを作製し、歯科医療器具としての応用をめざすものである。歯科医療における根管治療は、今のところ細長い器具を用いて物理的に腐植組織を除去する方法がとられており、細菌叢の残存による炎症や齲蝕の発生が問題となっている。本研究は、これらの課題を解決し、異分野融合による新しい歯科治療法を提案する点において、独創性が高い。
現時点での成果は下記の通りである。直径0.5 mmのマイクロBDD電極を作製し、これにイオン交換膜を介してAlリボンを巻きつけ、電解ユニットとした。この構造にすることで、純水中でも、イオン交換膜を介した電気分解が起こり、ユニットの近傍にのみオゾンなどの活性酸素種が生成する。これを、細菌のバイオフィルムを形成させた牛歯の根管中に挿入し、in vitroでの殺菌効果を評価した。牛歯根管内に歯周病菌のバイオフィルムを形成させ、リン酸緩衝生理食塩水を根管中に注入し、生体内に近い状態に調整した。そこに電解ユニットを挿入して所定時間電解した後、根管内を洗浄し、洗浄液中の細菌の生死を蛍光色素で判定したところ、従来法であるNaClO水溶液処理と同等の殺菌効果を示した。したがって、この電解ユニットは、従来法に比較して、より効果的でQOLの高い歯科医療の実現が期待できる。
本成果について、国際学会発表を実施、論文発表を準備中である。また、さらに応用性の高いフレキシブルBDD電極作製法も創出しつつあり、特許出願準備中である。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の目的であった超小型電解ユニットは、概要に記した通り、充分な成果を上げている。それに加え、大きなコストがかかるうえ、基材が限られるBDDマイクロ電極の作製過程を見直し、フレキシブルBDD電極作製法を見出した点において、当初の計画以上に進展しているといえる。本研究成果は、目標とする歯科医療の分野は言うに及ばず、殺菌や有機物分解を必要とする場所にひろく応用可能であり、学術的にも産業的にもその意義は大きい。
|
| Strategy for Future Research Activity |
とくに、あらたに見出したフレキシブルBDD電極作製法について、積極的な応用展開をはかる。まず、歯科材料メーカー大手のGC社や、鶴見大学歯学部の里村教授らと共同で特許を出願し、歯科医療器具として実用化をめざす。歯科医療器具メーカーと共同でユニットを開発し、根管治療や歯周病治療を想定した臨床試験で実用性を明らかにする。それに伴い、研究目的は変わらないが、研究計画の方法論的な変更がありうる。
|
Research Products
(3 results)
