2013 Fiscal Year Research-status Report
速度場と温度場の同時計測システムの構築と非定常熱流動現象の解明
Project/Area Number |
25871222
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
山田 俊輔 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, システム工学群, 講師 (90516220)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | はく離再付着流れ / 対流熱伝達 / PIV / 高速赤外線カメラ / 同時計測 |
Research Abstract |
本研究の目的は,ガスタービン,電子機器,伝熱装置などの数多くの機械内部で観察されるはく離・再付着流れによる非定常熱流動現象を解明することである.この非定常熱流動現象の解明には,高速に変動する流れ場と温度場の同時計測が有効な手法と考えられる.そこで流れ場の計測が可能なPIV計測システムと,温度場を計測可能な高速赤外線カメラを組み合わせ,非定常な流れ場と温度場を同時計測可能な統合計測システムを構築し,非定常熱流動現象として後向きステップ流れにおけるはく離再付着過程で現れるエネルギー輸送現象を実験的に解明する. 本年度は,同時計測システムの構築と後向きステップのステップ下流の壁を加熱した非定常熱流動現象の実験を実施した. 1.PIVと高速赤外線カメラのカメラシャッターの開放の同期制御を行うため,基準信号に対するカメラシャッターの時間遅れを調査した.この時間遅れを考慮しパルスジェネレータを用いてPIVカメラと高速赤外線カメラのカメラシャッターの同期を行った.また,PIVと高速赤外線カメラにより計測した速度と熱伝達率の計測精度を検証するため不確かさ解析を実施し,それぞれの修正不確かさは3%程度であった. 2.構築した同時計測システムを用いて後向きステップ流れにおける再付着点付近から下流域の二次元二成分の流れ場と加熱壁面の温度場の同時計測を行った.xy, yz, xz 平面の各3断面の速度変動と加熱平板の温度変動の非定常計測から各成分の対応関係を調査した.その結果,流れ方向と加熱平板方向へと向かう流れと高い熱伝達率とが高い正の相関を示すことがわかった. 3.二次元三成分の流れ場が計測可能なPIV計測システムを構築した.速度3成分の計測が可能であることを確認したが,カメラの個体差による問題とカメラ配置が角度オフセット法によるカメラ配置の問題で,計測精度が不十分であった.これらの問題を次年度に取り組む.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に予定した研究実施計画では,PIVカメラと高速赤外線カメラの時間遅れを考慮した統合計測システムの構築と,後向きステップの非定常熱流動現象を調査することにあった.双方のカメラシャッターの時間遅れは3.74msecあり,これを1nsecの時間分解能,ジッタ400psecで信号出力制御が可能なパルスジェネレータによりカメラの時間遅れを制御できた.確認のため,乱流境界層中の流れ場と温度場の同時計測を実施し,速度場と温度場がほぼ対応し,空間的な対応関係を明らかにした.また,後向きステップ流れの各断面における速度2成分の変動と熱伝達率の変動との相関を統計的に評価し,1年目の研究目標を十分達成したと.従って,予定した実施計画に沿った実験結果が得られた.最後に速度場の二次元三成分のPIV計測システムの構築であるが,計測システムの構築はでき,その中で多くの課題が見つかった.これは当初から想定したことであり,二次元三成分のPIVシステムの構築は次年度に時間をかけて,計測精度の向上に努める予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では,二次元三成分の速度と加熱壁面の温度,及び熱伝達率の挙動の対応を検証し,非定常熱流動現象メカニズムを解明する.構築した二次元二成分のPIV計測システムから二元三成分のPIV計測システムへと拡張し,速度の計測精度の向上に取り組む.以下に,実験項目とその詳細を述べる.問題の一つにカメラの個体差が挙げられる.今年度購入したカメラは現有するカメラと同一の受光素子センサであるが,レンズ距離が多少異なり,双方の画角設定が困難であった.そこで,次年度に同一のカメラを導入し,この問題を解決する.構築した二次元三成分PIV計測のカメラ配置は,角度オフセット法である.この角度オフセット法より画像ピントが良いシャインフラグ配置に変更する.カメラとレンズのアダプタは,マイクロメータ等で,微調整可能な装置を製作する.光学系部品を改良することにより速度計測精度を向上させる.非定常熱流動現象のメカニズム解明のために,乱流境界層と後向きステップの流れ場を予定している.これらの流れ場は,古くから多くの研究が行われ,時間平均の統計的データは多いが,非定常な速度と温度場のデータは非常に乏しく,詳細な非定常流動現象のメカニズムの解明には至っていない.壁近傍の速度三成分と加熱壁面の温度変動の計測から,壁面近傍の卓越周波数,空間波長や間欠的な変動等を統計的な定量解析により新たな熱設計指針を得ることを目標とする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入した高速度カメラの価格,及び学会参加のための旅費が想定した金額よりも抑えることができた.そのため,カメラとレンズのシャインフラグ配置に必要な光学系部品に,残りの予算を充てる予定であった.しかし,高速度カメラの調達要求書類の不備により新規カメラの購入が遅れた.予定していたシャインフラグ配置のための光学系部品の購入検討が間に合わず,残りの予算を全て使用することができなかった. 次年度には,新たに高速度カメラの購入を予定しており,これは今年度購入したカメラと同一のものである.高速度カメラの購入は6月中の納品を予定している.これら同一のカメラとレンズとのシャインフラグ配置のための光学部品の設計・製品納品を7月を目処に完了させる予定である.構築した実験装置の計測精度を確認し,その後乱流境界層,及び後向きステップ流れの非定常熱流動現象を解明する.
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Research Products
(4 results)