2014 Fiscal Year Annual Research Report
中国における地域発展戦略の変容-中央から地方への権限移譲と対隣接国政策の不整合
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25871224
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Research Institution | The Economic Research Institute for Northeast Asia |
Principal Investigator |
穆 尭芋 公益財団法人環日本海経済研究所(調査研究部), その他部局等, 研究主任 (00551417)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 中国経済 / 地域開発 / 地域政策 / 地域発展戦略 / 中央と地方 / 実態解明 / 策定プロセス / 実施過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は最終年度で、主な研究成果は2つである。(1)国境隣接地方における地域発展戦略を整理し、中央と地方の関係を分析した。2014年現在、チベット自治区・甘粛省を除くすべての国境隣接地方に国際協力を促進するための発展戦略が策定され、東南アジア・南アジア・中央アジア・北東アジアなどすべての周辺地域に対応できるようになっている。中央と地方は、国境地域の経済開発、全国的課題への取り組み、周辺国への経済展開、社会的安定の維持において緊密な補完関係にある。一方、国際連携を目指す発展戦略と地域経済の実態の距離、大都市を重視する地方と国境地域を重視する中央との相違、全国的課題の解決における地方政府の力不足、複雑で変化の多い国際関係と実施の一貫性を求める地域発展戦略との矛盾など、中央と地方の間に様々な不整合も見られた。これに関連する論文を当研究所の機関紙『ERINA REPORT』に掲載した。(2)地域発展戦略の実施プロセスを分析した。地域発展戦略の実施において、戦略の本文・実施細則・プロジェクト一覧・実施評価の4つのステップがあることを明らかにし、実施プロセスの不透明さ、地方による実施状況の相違、全国的課題の解決における地方政府の限界、人事の変化による実施への影響の4点の特徴を指摘した。これらの内容を中国経済経営学会の全国大会で報告した。現在は論文を作成中である。 本年度は、中国政府が2008年から2015年までに打ち出した地域発展戦略(124件)の一覧を作り、代表的なものを選んでその概要を整理し、『中国の地域発展戦略の概要(2008-2015)』報告書を作成した。吉林省・黒龍江省から専門家を招聘してセミナーを開催したほか、『ERINA REPORT』に中国の地域経済と地域政策に関する特集を組むなど、日本における中国の地域発展戦略への理解を深めた。本研究は当初目的をほぼ達成したと考える。
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