2013 Fiscal Year Research-status Report
身体運動に埋め込まれたコミュニカティブな信号処理に関する認知発達研究
Project/Area Number |
25871228
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
平井 真洋 自治医科大学, 医学部, 准教授 (60422375)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 身体運動 / バイオロジカルモーション / コミュニケーション / 発達 / 注意 |
Research Abstract |
本研究は身体運動に埋め込まれたコミュニカティブな信号の表現様式,ならびにそれが他者知覚処理・空間的注意・脳活動にどのように影響を与えるかを明らかにすることを目指す.具体的には,他者への働きかけに関する身体運動に焦点を当て,それがどのように表現されるのかについて,モーションキャプチャ計測によって得られたデータに基づき,その情報表現を定量化する.更に,心理物理実験,脳機能計測を行うことにより,それらの知覚メカニズム,神経メカニズムを解明する.本年度は身体運動計測のためのシステム構築,身体運動計測ならびに心理物理実験を中心に実施した.具体的には(1)複数のモデルに依頼し,他者への働きかけを行う際の様々な身体運動を記録し,それらの運動を特徴づける指標を探索した.(2)他者への働きかけに関する身体運動のうち,どのような情報が注意の移動を検出するかについて検討するための予備実験を開始した.(3) 他者の身体運動に含まれるこれらの情報が神経活動にどのような影響を与えるか,光トポグラフィーを用いた予備実験を開始している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は身体運動に含まれるコミュニカティブな信号の特性を同定するための環境整備ならびに予備実験(行動実験)を中心に研究を進めた.当初,本年度の研究費では十分な台数のカメラを購入することができず,信頼性の高い身体運動の計測ができなかった.このため10月に前倒し申請を行い,これによりカメラ台数を追加し,精度の高い身体運動が計測可能となった.計測システムを構築後,複数のモデルの方に演技を依頼し,相手に働きかける際の身体運動の計測を行った.得られたデータを解析し,身体運動に含まれるコミュニカティブな信号の物理情報を探索的に検討している.本年度は以下の2点を中心に研究を進めた.(一点目)他者への働きかけの際に含まれる身体運動の身体運動成分の同定.(二点目)他者への働きかけに関する身体運動のうち,どのような情報が注意の移動を検出するかについて検討するための予備実験を開始した.また,本年度は来年度の非定型発達児を対象とした研究を進めるにあたり,光トポグラフィーを用いた脳機能計測のための予備実験(成人を対象)を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,昨年度作成した刺激に基づいた本実験を開始するとともに,成人を対象とした脳機能計測実験を開始予定である.このため,プログラムの開発などの準備を現在行っている.また,定型発達児ならびに非定型発達児を対象とし,本刺激を用いた研究を夏休みに遂行予定である.これにより,身体運動に含まれる他者への働きかけに関する信号の鋭敏さが発達によりどのように変化するのか,また,非定型発達児においてどのように異なるのかについて明らかにする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初想定していたよりも少ないモーションキャプチャカメラの台数で身体運動計測システム構築が可能であることが判明し,当初の請求金額よりもシステム構築が安価で可能となり,次年度使用額が生じた. 差額については,これから開始する本実験のための被験者謝金,英文校正費用ならびに学会参加のための旅費に充てる予定である.
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