2014 Fiscal Year Annual Research Report
体外循環中の高酸素管理下における炎症反応機序の解明 -理想的な体外循環法の検討-
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25871231
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
藤井 豊 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 特任研究員 (20589303)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 体外循環 / 補助循環 / 人工心肺 / 高酸素 / 活性酸素種 |
Outline of Annual Research Achievements |
人工心肺に代表される体外循環法は無くてはならない手技である。しかしながら、この体外循環は生体に様々な悪影響を及ぼすこと知られている。我々は、血液が体外循環回路・血液ポンプ・人工肺を中心とした体外循環デバイスなどの異物に接触することで起こるとされている炎症反応に注目した。それに関連して、一般的に患者は体外循環中、非生理的な高酸素状態管理されることが多い。近年、生体中の過剰な酸素はhydroxyl radical等のoxygen free radical を産生し炎症や細胞障害を起こすことが分かってきいる。 このような背景から、本研究では、我々がこれまでに構築してきた小動物体外循環モデルを用いた実験を行い、体外循環中の炎症反応と生体の高酸素の関係を明確にし、理想的な体外循環法を検討することを目的として研究を行ってきた。課題として以下の3つを掲げている。課題1. 高酸素管理体外循環において酸化ストレス及び炎症反応が増大されていること の証明。課題2. 体外循環中の高酸素のレベルによる酸化ストレス及び炎症反応の程度の評価。課題3. 体外循環による酸化ストレス及び炎症反応が主要臓器に引き起こす障害の評価。である。最終年度となる平成26年度は、前年度までの結果を踏まえ主に、課題2および課題3について研究を進めた。その結果、400㎜Hg以上の高酸素分圧管理の体外循環では炎症性サイトカインの上昇に加え、生化学データ(AST・ALT・LDHなどの酵素)の急激な上昇を観察することができた。また、肺組織浮腫が顕著で、肺組織・肝組織でoxygen free radical の一つであるスーパーオキサイドの産生が多いことが分かった。 以上の結果から、生体の高酸素分圧管理が体外循環中の炎症反応および臓器傷害を助長していることが証明できた。また、この反応にはoxygen free radicalの産生が関与していることも分かった。
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