2014 Fiscal Year Annual Research Report
アンチセンス核酸医薬における脂質分子のコンジュゲート・ルールの確立
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25871235
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
和田 俊輔 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 流動研究員 (40631297)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アンチセンス核酸 / コレステロールコンジュゲート / リンカー / 2',4'-BNA/LNA |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで、申請者はコレステロールとAONを繋ぐリンカーの化学構造に着目し、コレステロールコンジュゲート型AONの肝臓移行性及び肝細胞指向性を向上させ、AONの遺伝子抑制効果を高めることを試みてきた。その結果、リンカーの違いやコレステロールコンジュゲートの結合末端(3'/5')によりコレステロールコンジュゲート型AONの肝臓移行量が異なることが明らかとなった。また、その肝臓切片を用いてAONの細胞局在を評価すると、リンカーの違いが細胞指向性へも影響することが示された。しかし、肝実質細胞への蓄積が非常に多いにもかかわらず、標的mRNAの抑制効果が得られないリンカーが存在した(Hemisuccinate: HMS)。このことから、コンジュゲート分子がASOの薬効を阻害している可能性が示唆された。最終年度では、薬効を改善する方法の探索を行った。そして、コンジュゲート分子の切り離しを念頭に、HMSリンカーとASOの結合を通常のホスホロチオエート(PS)結合をホスホジエステル(PO)結合に置換することで、内在性のホスホジエステラーゼに切断されるように設計を改変した。PS結合を用いた(Chol-HMS-S)とPO結合を用いた(Chol-HMS-O)アンチセンス核酸をC57BL/6Jマウスに2 µmol/kgで単回投与を行った。その結果、Chol-HMS-S体では標的mRNAの抑制が認められなかったが、Chol-HMS-O体では50%の標的mRNA抑制効果が認められた。この結果より、細胞内でコンジュゲート分子をAONから切り離すことが重要であることが明らかとなった。本結果はコレステロールコンジュゲートだけでなく、リガンドコンジュゲート型アンチセンス核酸における設計指針の一部となり、重要性の高い結果である。本結果は現在、論文投稿中である。
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