• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2013 Fiscal Year Research-status Report

医薬品を違法配合したダイエット食品の新規迅速分析法の開発と流通状況の解明

Research Project

Project/Area Number 25871238
Research Category

Grant-in-Aid for Young Scientists (B)

Research InstitutionOsaka Prefectural Institute of Public Health

Principal Investigator

中村 暁彦  大阪府立公衆衛生研究所, その他部局等, 研究員 (20416241)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2015-03-31
Keywordsダイエット食品 / MALDI-TOF/MS / 痩身用医薬品 / 違法配合 / 健康食品
Research Abstract

美容に対する意識の高まりや、特定健診・特定保健指導(メタボ健診)がスタートしたことから、多くの人がダイエットに興味を持っている。それらの人の中には、ダイエットの効果を上げるためにダイエット食品(痩身効果を標榜するいわゆる健康食品)を摂取している人が存在する。しかし、医薬品成分を違法に配合したダイエット食品が世間に流通しており、深刻な健康被害が各地で発生している。このような違法なダイエット食品の摂取による健康被害を避けるため、それらの品質を監視することが重要である。本研究では、ダイエット食品へ違法に配合されるおそれが強い医薬品(痩身用医薬品)を対象に、近年注目されているMALDI-TOF/MS(マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計)を用いた一斉分析法を開発することにした。
現在、痩身用医薬品を良好に検出するために最適なMALDI-TOF/MSの条件を検討している。医薬品と混和するマトリックスには、ペプチドなど低分子量の質量測定で広く用いられているα-シアノ-4-ヒドロキシケイ皮酸のほか、2,5-ジヒドロキシ安息香酸や1-ナフチルヒドラジン塩酸塩を用いた。また、α-シアノ-4-ヒドロキシケイ皮酸と9-アミノアクリジンとのマトリックス混合物についても同様に検討した。対象とした痩身用医薬品の多くはアミノ基を有することから、ポジティブイオンモードにて質量を測定した。本研究では前処理を行わず配合成分を見つけることを目標としているため、可能な限り質量分解能が高い条件下で測定する必要がある。したがって、マトリックスを校正物質として質量を内部校正した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

痩身用医薬品30成分(うち23成分はダイエット食品へ混入例あり)について、MALDI-TOF/MSを用いて検出できるかマトリックスごとに調査している。これまでに、マトリックスとしてα-シアノ-4-ヒドロキシケイ皮酸を用い、ポジティブイオンモードで対象成分と推定されるピークを検出した(20成分)。その他のマトリックスについて、検出感度が低く対象成分の検出に至っていないことから、本分析法のマトリックスについてさらに広く調査する必要がある。対象成分にプロトンを放出することのできる水酸基やカルボキシル基を有する医薬品が存在することから、ネガティブイオンモードについても併せて検証する。
現状の課題は、質量測定の精度が不十分であり、対象成分の精密質量の理論値と実測値との間にずれが生じていることである。本研究でマトリックスにα-シアノ-4-ヒドロキシケイ皮酸を用いた際に、内部校正により質量を校正したにも関わらず、実測値と理論値との間で小数点以下2桁目以降ずれが生じた。これは質量の校正ポイントが少なかったためと考えられ今後その数を増やす必要がある。医薬品を配合されたダイエット食品では、その痩身効果を消費者に実感させる必要があるため、薬用量に匹敵する量の医薬品が添加されるケースが多い。したがって、医薬品と推定されるピークを検出することは、さほど困難ではないと思われる。しかし現時点では、質量の測定精度が不十分であることに加え、食品中の妨害成分の影響が未知数であるため、開発した分析法を実際のダイエット食品に用いた場合、対象の痩身用医薬品をどの程度まで検出・同定できるか不明である。

Strategy for Future Research Activity

MALDI-TOF/MSによる分析で用いるマトリックスは対象化合物に応じて適否があることから、マトリックスの候補をα-シアノ-4-ヒドロキシケイ皮酸以外に20化合物ほど広げ、対象の医薬品を検出できるか調査する。水酸基やカルボキシル基を有し、ネガティブイオンモードでイオン化可能と考えられる対象成分が存在するため、ポジティブイオンモードと併せて検討する。また、対象成分の質量の測定精度を上げる必要があるため、精密質量が既知の低分子化合物(分子量1000以下)を新たに内部標準物質として用い、質量の校正ポイントを増やす予定である。
最適な分析条件を確定した後、マトリックス及び対象成分の濃度ごとに質量スペクトルのライブラリを作成し、質量のずれがどの程度まで許容可能か基準を設定する。このライブラリを医薬品の違法配合が懸念されるダイエット食品の一次スクリーニングに活かすことにより、偽陽性の危険性を減らすことができると考えられる。
次に、当研究所で保管しているダイエット食品へ対象の医薬品を添加し、回収率を測定することにより、開発した分析法が実際のダイエット食品の検査へ適用できることを証明する。続いて、国内や海外で流通しているダイエット食品について、ドラッグストアやインターネット上の通信販売で新たに入手し、開発した分析法を用いて測定することで医薬品の配合実態を明らかにする。海外のダイエット食品から医薬品が検出される例が多いため、海外の商品を中心に調査する予定である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成25年度のうちに、ダイエット食品へ医薬品を添加しその回収率を測定するところまで終える予定であったが、質量測定の精度が不十分であったことから、計画を変更し分析条件の再検討を行っている。そのため、添加回収試験を平成26年度に行うこととし、研究費の未使用分はマトリックスやMALDI用プレートの追加購入の経費に充てることとした。
測定対象の痩身用医薬品に最も適したマトリックスを見つけ出すため、既に購入した化合物に加え、20化合物ほど新たに購入する。マトリックス及び対象成分の濃度ごとに検出可能か迅速に確認するため、MALDI用プレートを追加購入する。
ダイエット食品について実態調査を行い、痩身用医薬品を配合する健康食品の流通状況を解明する。購入の際には、具体的かつ急激な効果を標榜するものを優先して選ぶ。医薬品の配合例が多いカプセル剤を中心に調査するが、錠剤や煎剤についても購入し調査する予定である。その他、必要な情報を収集するため、研究成果を社会に発信するための学会旅費・参加費(第62回質量分析総合討論会、第51回全国衛生化学技術協議会総会、日本薬学会第135年会)と、誌上発表するための論文投稿・英文校閲費を計上した。

URL: 

Published: 2015-05-28  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi